その他

百姓雑話

第54話 常識の向こうに、きっと

日ごろ意識しようとしまいと、人は常識に支配されている。それはまるで、常識という海に群れている小魚のようだ。生活習慣にしろ、言語にしろ、社会制度にしろ、はては思考さえも、常識にしっかり依拠している。できるだけ平穏に無難に生きていくうえで、常識...
百姓雑話

第49話 朽ちることの意味

「朽ちないことが善、朽ちるのは悪」と、つい思いがちである。 私たちの身の回りには朽ちないもの、あるいは朽ちにくいものが溢れている。例えば、錆びないステンレスやガラス、分解しないプラスティックや繊維製品、蛍光管に比べて桁違いに長持ちするLED...
百姓雑話

第36話 男は女の付属物?(1)

カボチャは、ウリ科の作物なので、一つの株に雌花と雄花が咲く。丈夫な苗を畑に植え生育環境が良ければ、雌花と雄花がほぼ同時期に咲き始める。 ところで、今から20年ほど前、陽ざしが強くなったゴールデン・ウィーク、不思議な現象に気づいた。苗に十分な...
百姓雑話

第15話 ヤブ蚊と太平洋戦争

農業は厳しいが、農作業は楽しい。楽しくなければ、長く続けられない。 それでも私は、正直に言えば、荷造り作業は楽しくない。少量多品目を有機栽培する場合は荷造り作業にかなり神経を使うが、長年やってくると、単純作業の連続と思えるからだ。要するに、...
百姓雑話

第1話 縁

人には何かの縁がある。 若い頃は、縁などまったく意識しなかった。未来は、才能と努力の結果として、誰にでも開けてくると信じていた。多少の運、不運はあっても、縁に依拠した生き方はしたくなかった。 しかし、農業を始めた頃から、運を肯定するようにな...