社会・政治

百姓雑話

第108話 危機を感じて

この季節になると、野鳥の種類がめっきり減り、何か寂しくなる。よく目につくのはカラスくらいである。大小さまざまな鳥が冬を生き抜くために、南方へ渡ってしまったからである。はるか数千キロもの南方へ、その身ひとつで渡る小鳥がとても偉大に思える。 と...
百姓雑話

第95話 桃源郷

私は田舎の農村で生まれ育った。どの家の屋敷にもいろいろな果樹が植えられ、ほぼ一年中どこかに果物がなっていたていた。それは、まるで村全体が桃源郷のようであった。現代のように甘いお菓子やケーキがあるはずもない田舎では、四季折々の果物が子どもたち...
百姓雑話

第87話 目先の善、将来の悪

立秋の7日から今年2度目の夏が来て、毎日厳しい暑さが続いている。畑の土はパサパサである。お天気任せの露地栽培とはいっても、水をたくさん要求する胡瓜などは水不足で収穫量がかなり減ってしまった。また、これから秋にかけてブロッコリーやキャベツなど...
百姓雑話

第86話 敵は誰だ?

私は、いわゆる「脱サラ」農民である。アフリカのソマリアにあった難民キャンプで働いていた時に食料生産の重要性を再認識し、今に至っている。 経験や知識の乏しい駆け出しの頃、有機農業の手法をいろいろ教えてくださった方から、「俺たち農家の敵は誰だか...
百姓雑話

第81話 毒を喰う

ハウス栽培であれば雨の影響を受けないのだが、露地栽培はお天気次第である。雨でぬかるんだ泥に足をとられ、カッパの中を汗が流れ落ちる。収穫した野菜は泥で汚れ洗わなければならなくなる。そんな辛い作業の最中に、「こんな雨がエチオピアのアビシニア高原...