百姓雑話

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第20話 水は命

水は、実に不思議な物質である。酸素(O)の両脇に水素(H)が1個ずつ結合しているが、への字のように曲がってついている。きわめて特異的な結合のため、分子の周囲が電気をおびる。これが、水の不思議の原因であり、命の源となった理由と思われる。 とこ...
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第19話 アブラ虫とグレート・ジャーニー(1)

ゴールデン・ウィークは非常に忙しい。田植えのシーズンだからだ。皆生農園は、稲作を委託しているので田植えはないが、春野菜の収穫と夏野菜の植え付けに早朝から夜中まで働く。育苗ハウスは約20種類の苗で埋まっている。遅霜の心配がなくなる5月初めから...
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第18話 育児

やっと春めき、ヒバリがさえずり始めた。スペインのカタルーニャ地方では「ピース、ピース」と鳴くという。 去年、ヒバリが私の畑に産卵したが、結局1羽も巣立てなかった。2個は何かに食べられてしまい、最後に残った1個も、多分、親鳥が育児放棄したよう...
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第17話 ある少女の死

去る3日、台風並みの暴風で目も開けられないほどの土埃が吹き荒れた。研修生2名とともに強風対策をしながら、ふっと20年数前の体験を思い出した。 1985年10月、私は難民救援団体のスタッフとして難民キャンプに赴いた。場所は、アフリカ北東部の辺...
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第16話 早咲き、遅咲き

記録的な寒さが続いたために開花が遅れたものの、桜が見事に咲いた。地面に淡いピンクの絨毯を敷きつめたようだ。我が家の近くにも桜の大木がたくさんあるのだが、残念ながらその下で宴会を開く余裕はない。この頃から、レタス、菜花、ブロッコリーなどの春野...