農業の現実

百姓雑話

第97話 豊作貧乏

実りの秋、食欲の秋を迎えた。暑くなく寒くもなく、良い季節だ。この頃になると、種まきや定植がほぼ終わり、収穫の日々が続く。それまでの苦労が報われる気がする。しかしその一方で、秋には厳しい現実もある。豊作貧乏である。私は、豊作貧乏になると、「人...
百姓雑話

第92話 農薬(4)

今さら私が指摘するまでもなく、農産物の品種改良と生産技術の向上、とりわけ、農薬と化学肥料の普及が人類の今を支えている。膨張し続けてきた人類のほとんどを飢えから救ってきたことも紛れもない事実であるが、その裏側で人類は重大な過ちを犯してきたよう...
百姓雑話

第78話 資本主義の衰退(2)

このご時世で、資本主義の根幹であるインフレを誰が望んでいるのだろうか。かすかすの蓄財や年金で生活している老人が望んでいるだろうか。住宅ローンを抱えている人々が望んでいるだろうか。子どもの学費を稼ぎだすために自分の小遣い銭も気にしている人が望...
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第76話 6次産業化と所得倍増

近年、「将来の成長産業は農業です。6次産業にすればいいんです。農産物の生産が1次産業、それを加工するのが2次、販売まで手がければ3次、合計で6次産業です」と首相自らが公言し、役人や政治家、マスコミなどがあおり立てる。「そんなにも農業が成長産...
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第73話 農村事情(3)

「日本の農家のほとんどは家族営農である」と言われてきた。かつて私の実家も、まさにそうであった。両親と兄夫婦の4名が力を合わせて働いていた。猫の手も借りたいような時は、学生の私も手伝った。冠婚葬祭や体調を大きく崩した時以外は、4人が毎日毎日働...