一般的に、産業は3つに区分されている。第1次産業は農業、林業、漁業。第2次産業は鉱業、建築業、製造業。第3次産業は電気・ガス・水道・通信などのインフラ事業、運輸業、倉庫・卸・小売業、金融・保険業、不動産業、飲食業、医療・介護業、公務、弁護士・税理士・会計士・司法書士などの公務代行業、その他のサービス業などと多岐にわたる。
今話では、第3次産業について考察してみよう。個人的な偏見が入るかもしれないが、あらかじめご容赦願いたい。
第3次産業は、IT化の影響を大きく受けてきたが、AIの進化によって変化が加速されている。その前提に立って、以下の4種類に分類してみた。
①自分や家族の利益にも、社会にも役に立つ仕事。
②自分や家族の利益にはなるが、ほとんど社会の役に立たない仕事。
③たいして自分や家族の利益にならないものの、社会の役に立つ仕事。
④たいして自分や家族の利益にならないばかりか、ほとんど社会の役にも立たない仕事。
程度の差はあれ、ほとんどのサービス業は①にあたる。何らかの事情や災害などにより大きく毀損すれば、人々の生活は立ちいかなくなり、社会が崩壊する可能性さえある。14年前の東北大震災と原発事故を思いおこせば、誰でも納得できるだろう。身近のところで言えば、ごみ収集が滞れば、都市住民はパニックに陥る。今年1月28日に埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故では、公共インフラの重要性が再認識された。
次に②の分類だが、税金を投じて設立された政府の外郭団体はこれに入るものがある。高級官僚の天下り先となっており、ろくに仕事をしなくても高給が保証され数年で高額な退職金がもらえる団体も少なからずある。
また、AIの進化によって①から②になりつつある仕事もある。例えば、公務の一部、
弁護士・税理士・会計士・司法書士などの公務代行業、銀行の支店業務、不動産業などである。これらは社会貢献度が薄れつつある。
③として真っ先に思い浮かぶのが介護業界である。とりわけ訪問介護業は、薄給が一般的で、組織として赤字でも継続しているケースがある。インフレが進行している現状でも、介護報酬はろくに上がっていない。自治会、養護施設、刑務所や少年院を出所した人たちの社会復帰を支援する保護司などの活動もこれに分類できる。他にも、広い意味でのボランティア活動も③に入るものが多い。
最後に④に相当する仕事を探してみよう。例えば、大型ショッピングモールに客を奪われた商店街やアマゾンなどの大手通販会社に圧倒された書店や小規模小売店があげられる。これらは次々に社会から消えてきた。民営化された郵便事業もこれになりつつあるかもしれない。
(文責:鴇田 三芳)