鴇田 三芳

百姓雑話

第265話 養豚場(3)

畜産業、とりわけ日本のそれは根深い問題をいくつもかかえている。例えば、人間が食べる穀類との競合、石油依存、そして畜産農家の犠牲は深刻な問題である。まず、単純な質問から話を始めたい。それは「豚は何を食べるのか?」という問いである。たぶん、「餌...
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第264話 養豚場(2)

表題のとおり、今回は前話の続きである。生きた豚を見たことのない人のために、農家で育った私が豚に成り代わって、少しばかり豚の紹介をしたい。「おれ達はなかなかの綺麗好きだ。にもかかわらず、豚舎はどこも汚い。狭苦しく、異臭を放つ。もちろん、すき好...
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第263話 養豚場(1)

自宅から農場に行く途中、大きな養豚場がある。その近くに農場を借りてから20年ほど経つが、すでに当時からあった。風向きによっては、1km以上も離れた農場付近にも異臭が漂ってくる。周囲には民家や事業所があり、きっと異臭に悩まされ続いけてきたのだ...
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第262話 いのちをつなげる

大人の体は、約60兆個の細胞からなっているという。体に共生している微生物も含めれば、その何倍もの生き物の集合体が一人の人間と考えることもできる。一人の人間の体そのものが一つの銀河系のようなものである。もとより動物は、植物のように無機物から有...
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第261話 真逆の世界

暮れも押しつまり、寒さが身にしみる。農作業を終え家路につく頃は、もう真っ暗だ。畑の野菜たちは日暮れとともに凍りはじめる。澄み切った星空を見上げると、静寂のなかで無数の星々が輝き、きらびやかな都会の夜とは真逆の世界が広がっている。そんな星空を...