鴇田 三芳

百姓雑話

第205話 団塊世代

日本は戦後、街も家も職場も、何もかも荒廃した状態から驚異的な復興をとげた。それは多分、人心だけは荒廃していなかったからだろう。とりわけ、物資に困窮する中で生まれ育った団塊世代とその前後の世代は、復興の中核をなす人たちであった。今から振り返れ...
百姓雑話

第204話 効率と寿命

効率は経済活動の基本的なエレメントになっている。効率を追求しない仕事は稀有である。芸術家や哲学者、文筆家や評論家、あるいは宗教家や厭世家でもないかぎり、「まんざら非効率も悪くはないではないか」などと口にしにくい。競争社会で日々もまれている人...
百姓雑話

第203話 三度菜

聞き慣れないかもしれないが、インゲンを「三度菜」と言う地域がある。温暖な平地であれば、栽培できる時期が年間3回あるためらしい。この辺りの露地栽培では、梅雨の時期、晩夏、そして秋に収穫でき、その期間は1ヶ月くらいのため、その度に種をまかなけれ...
百姓雑話

第202話 激変の先は

「岩盤規制を打破しなければ、経済発展は続かず、日本は衰退するばかりだ」と長らく経済界の方々が政府に圧力をかけてきた。しかし、宝物を古墳の石室が守っていたように、既得権益を守ってきた岩盤規制は簡単には崩せなかった。ところが最近、安倍政権は本気...
百姓雑話

第201話 文明の代償

私は便利さや快適さとはまったく無縁の農村地帯で生まれ育った。土間に積まれたレンガの竈(かまど)で藁(わら)や木くずを燃やし日々の食事を煮炊きした。お風呂も鉄製の風呂釜、いわゆる「五右衛門風呂」で、井戸水を満たし籾殻(もみがら)や落ち葉を燃や...