鴇田 三芳

百姓雑話

第155話 新たなグレート・ジャーニー

初冬の冷たい北風が吹く日、近くの大きな調整池に鴨が飛来した。長旅の疲れをいやすかのように、風に揺れてキラキラ輝く陽だまりをゆっくり泳いでいる。鴨の体を人間に換算すれば、世界一周くらいの距離を飛んで来るのだろうか。その旅は、まさに生き延びるた...
百姓雑話

第154話 姥捨て山

「姥捨て山」という民話がある。あまりの貧しさに老人を山奥に捨ててしまう話しで、いわゆる「口減らし」の風習を描いている。家族や集団が生き延びるための究極の選択とはいえ、悲しい風習である。かつて難民キャンプで見た光景も同じで、まず働き盛りの男性...
百姓雑話

第153話 晩秋のカマキリ

カマキリは戦士である。ある程度大きくなると、鳥以外に敵はいなくなる。巨大な人間が近づいても、こちらを鋭い眼光で凝視し、たやすく逃げたりしない。つかもうとすると、その大きな鎌で攻撃してくる。指をはさまれると、かなり痛い。カマキリは益虫である。...
百姓雑話

第152話 好きな野菜、嫌いな野菜

食べるのが好きとか嫌いとかではなく、栽培するのが好きか嫌いかという話しである。栽培する野菜の種類を増やすつもり人や新規就農者の参考になれば、幸いである。私は、販売と自給の都合で、旬の野菜を切れ目なく、年間40種類ほど栽培している。農業が性に...
百姓雑話

第151話 大器晩成

とても野菜がおいしい季節になった。私は、枝豆とブロッコリーとさつま芋が特に好きで、これらは毎日、そして一年中食べたい。6月中旬から採れていた枝豆が10月上旬に終わると、ちょうどブロッコリーとさつま芋の季節が来る。今年もさつま芋は、朝から晩ま...