鴇田 三芳

百姓雑話

第16話 早咲き、遅咲き

記録的な寒さが続いたために開花が遅れたものの、桜が見事に咲いた。地面に淡いピンクの絨毯を敷きつめたようだ。我が家の近くにも桜の大木がたくさんあるのだが、残念ながらその下で宴会を開く余裕はない。この頃から、レタス、菜花、ブロッコリーなどの春野...
百姓雑話

第15話 ヤブ蚊と太平洋戦争

農業は厳しいが、農作業は楽しい。楽しくなければ、長く続けられない。 それでも私は、正直に言えば、荷造り作業は楽しくない。少量多品目を有機栽培する場合は荷造り作業にかなり神経を使うが、長年やってくると、単純作業の連続と思えるからだ。要するに、...
百姓雑話

第14話 性格の壁

いろいろな方々が農業研修を希望し訪ねてこられた。その人たちに何を学びたいのか尋ねると、栽培技術を学びたいという答えが圧倒的に多い。私も、今から20年以上前に研修を受ける時、そう思っていた。 確かに有機栽培の技術は、農薬や化学肥料を使う慣行栽...
百姓雑話

第13話 人を喰う(The Killing Fields)

今から30年ほど前、1980年12月8日、John Lennonがニューヨークの自宅前で射殺されてしまった。そのニュースを聞いた時、5年勤めてきた会社を辞めると決めた。お世話になった直属の上司を裏切る結果を選んでしまい、本当に申し訳なく、今...
百姓雑話

第12話 キジとヒバリとカッコウと

鳥の子育てもいろいろである。 学生の頃、よく一人旅に出かけた。宿はきまってユースホステル。安いだけでなく、出会いの機会もあった。ユースホステルを泊まり歩くのは若者の一種のファッションであったように記憶している。もう随分昔のことだが、あの頃が...