鴇田 三芳

百姓雑話

第19話 アブラ虫とグレート・ジャーニー(1)

ゴールデン・ウィークは非常に忙しい。田植えのシーズンだからだ。皆生農園は、稲作を委託しているので田植えはないが、春野菜の収穫と夏野菜の植え付けに早朝から夜中まで働く。育苗ハウスは約20種類の苗で埋まっている。遅霜の心配がなくなる5月初めから...
百姓雑話

第18話 育児

やっと春めき、ヒバリがさえずり始めた。スペインのカタルーニャ地方では「ピース、ピース」と鳴くという。 去年、ヒバリが私の畑に産卵したが、結局1羽も巣立てなかった。2個は何かに食べられてしまい、最後に残った1個も、多分、親鳥が育児放棄したよう...
百姓雑話

第17話 ある少女の死

去る3日、台風並みの暴風で目も開けられないほどの土埃が吹き荒れた。研修生2名とともに強風対策をしながら、ふっと20年数前の体験を思い出した。 1985年10月、私は難民救援団体のスタッフとして難民キャンプに赴いた。場所は、アフリカ北東部の辺...
百姓雑話

第16話 早咲き、遅咲き

記録的な寒さが続いたために開花が遅れたものの、桜が見事に咲いた。地面に淡いピンクの絨毯を敷きつめたようだ。我が家の近くにも桜の大木がたくさんあるのだが、残念ながらその下で宴会を開く余裕はない。この頃から、レタス、菜花、ブロッコリーなどの春野...
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第15話 ヤブ蚊と太平洋戦争

農業は厳しいが、農作業は楽しい。楽しくなければ、長く続けられない。 それでも私は、正直に言えば、荷造り作業は楽しくない。少量多品目を有機栽培する場合は荷造り作業にかなり神経を使うが、長年やってくると、単純作業の連続と思えるからだ。要するに、...