鴇田 三芳

百姓雑話

第18話 育児

やっと春めき、ヒバリがさえずり始めた。スペインのカタルーニャ地方では「ピース、ピース」と鳴くという。去年、ヒバリが私の畑に産卵したが、結局1羽も巣立てなかった。2個は何かに食べられてしまい、最後に残った1個も、多分、親鳥が育児放棄したようだ...
百姓雑話

第17話 ある少女の死

去る3日、台風並みの暴風で目も開けられないほどの土埃が吹き荒れた。研修生2名とともに強風対策をしながら、ふっと20年数前の体験を思い出した。1985年10月、私は難民救援団体のスタッフとして難民キャンプに赴いた。場所は、アフリカ北東部の辺境...
百姓雑話

第16話 早咲き、遅咲き

記録的な寒さが続いたために開花が遅れたものの、桜が見事に咲いた。地面に淡いピンクの絨毯を敷きつめたようだ。我が家の近くにも桜の大木がたくさんあるのだが、残念ながらその下で宴会を開く余裕はない。この頃から、レタス、菜花、ブロッコリーなどの春野...
百姓雑話

第15話 ヤブ蚊と太平洋戦争

農業は厳しいが、農作業は楽しい。楽しくなければ、長く続けられない。それでも私は、正直に言えば、荷造り作業は楽しくない。少量多品目を有機栽培する場合は荷造り作業にかなり神経を使うが、長年やってくると、単純作業の連続と思えるからだ。要するに、荷...
百姓雑話

第14話 性格の壁

いろいろな方々が農業研修を希望し訪ねてこられた。その人たちに何を学びたいのか尋ねると、栽培技術を学びたいという答えが圧倒的に多い。私も、今から20年以上前に研修を受ける時、そう思っていた。確かに有機栽培の技術は、農薬や化学肥料を使う慣行栽培...