百姓雑話

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第268話 光の時代

立春を過ぎた。まだまだ寒さは続くものの、春の兆しが日差しの中に見え始めた。待ちに待った春までもう少し。雪の心配がなくなる春分の日までの辛抱だ。季節感が鈍った人間たちとは違い、自然の生き物たちは季節の移ろいを敏感に感じている。陽だまりの梅の花...
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第267話 偉業

世に「偉業」とたたえられた発明や事業を数え上げたらきりがない。基本的に、そのどれもが人類の発展や新たな文明の創出につながったと評価されている。しかし、それらの偉業が、庶民をどれほど幸福にしただろうか。地球上からたくさんの生物種を絶滅させただ...
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第266話 体を温める方法の功罪

とにかく、寒い。まれにみる強烈な寒波の襲来で、15日の最低気温は畑で-15.1℃を記録した。長年にわたって冬場の最低気温を観測してきたが、今回の最低気温がもっとも低かった。仕事がら、厳しい寒さの中での作業は仕方ないのだが、歳を重ねるほどに、...
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第265話 養豚場(3)

畜産業、とりわけ日本のそれは根深い問題をいくつもかかえている。例えば、人間が食べる穀類との競合、石油依存、そして畜産農家の犠牲は深刻な問題である。まず、単純な質問から話を始めたい。それは「豚は何を食べるのか?」という問いである。たぶん、「餌...
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第264話 養豚場(2)

表題のとおり、今回は前話の続きである。生きた豚を見たことのない人のために、農家で育った私が豚に成り代わって、少しばかり豚の紹介をしたい。「おれ達はなかなかの綺麗好きだ。にもかかわらず、豚舎はどこも汚い。狭苦しく、異臭を放つ。もちろん、すき好...