百姓雑話

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第208話 豊かな農地

記録的に暖かい秋が続いてきたが、やっと霜が降りはじめた。また今年も、農地を肥沃にするため、畑に米糠(こめぬか)ともみ殻を入れ始めた。いわゆる「土づくり」である。かれこれ15年ほど前から私は、積極的に米糠ともみ殻、それに堆肥を畑に入れてきた。...
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第207話 ためる

今から35年ほど前、電子部品を製造する会社で5年間ほど働いていたことがある。週休2日であったが、入社2年目から特定の仕事を任された関係で残業と休日出勤が常態化し、基本給は安くても手取りの給料は悪くなかった。事業所が田園地帯にあり敷地内の寮に...
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第206話 落ちる

秋も深まり、落ち葉が積もっている。悩ましい雑草も、ほとんど枯れ種を大地に落とし、命を明日につなげた。この頃になると、越冬野菜の作付けもすべて終わり、「今年も元気に働けて本当に良かった」という感謝の念をいだく。ところで、「落ちる」という言葉を...
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第205話 団塊世代

日本は戦後、街も家も職場も、何もかも荒廃した状態から驚異的な復興をとげた。それは多分、人心だけは荒廃していなかったからだろう。とりわけ、物資に困窮する中で生まれ育った団塊世代とその前後の世代は、復興の中核をなす人たちであった。今から振り返れ...
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第204話 効率と寿命

効率は経済活動の基本的なエレメントになっている。効率を追求しない仕事は稀有である。芸術家や哲学者、文筆家や評論家、あるいは宗教家や厭世家でもないかぎり、「まんざら非効率も悪くはないではないか」などと口にしにくい。競争社会で日々もまれている人...