農業の現実

百姓雑話

第202話 激変の先は

「岩盤規制を打破しなければ、経済発展は続かず、日本は衰退するばかりだ」と長らく経済界の方々が政府に圧力をかけてきた。しかし、宝物を古墳の石室が守っていたように、既得権益を守ってきた岩盤規制は簡単には崩せなかった。ところが最近、安倍政権は本気...
百姓雑話

第201話 文明の代償

私は便利さや快適さとはまったく無縁の農村地帯で生まれ育った。土間に積まれたレンガの竈(かまど)で藁(わら)や木くずを燃やし日々の食事を煮炊きした。お風呂も鉄製の風呂釜、いわゆる「五右衛門風呂」で、井戸水を満たし籾殻(もみがら)や落ち葉を燃や...
百姓雑話

第200話 学びの先に

学ぶことは真似(まね)ることから始まる。明治維新の前後から、日本人は西洋文明を盛んに真似てきた。特に工業に関しては、「富国強兵」とか「脱亜入欧」などという勇ましいスローガンのもと、血眼になって物真似した。その姿勢は敗戦後の復興期にも引き継が...
百姓雑話

第196話 未来を買う

未来は誰でも買える。自分の未来がどうなるのか誰もはっきりと予見できないものの、日常的に未来を買っている。日本でも経済が右肩上がりの時代は特に、個人も企業も国家も、社会全体で盛んに未来を買っていた。そして、そのことで生活の質が全般的に向上し便...
百姓雑話

第195話 心の支え

天職と思って始めた農業だが、毎年この頃になると心が折れそうになる。「もう農業をやめたい。サラリーマンとして現金収入を得ながら、家庭菜園でのんびり野菜を作り快い汗を流すほうがいい」と今まで何度も思った。語り尽くせぬ苦労と多額の投資の末にやっと...