古希を過ぎたころから、体のあちこちに支障が出始めた。以前からの指と首の痛みに加え、近頃は脊柱管狭窄症と座骨神経痛が悪化した。ボケも進んだ。毎日疲れるので寝つきはいいものの、夜中に目覚めることもたびたびで、なかなか疲れが取れない。もう生命力の限界がそこまで来たのだろう。
限界を悟り、来年は半分ほどの農地を返却し、生業としての農業は縮小するつもりだ。手始めに今年は、千葉大園芸学部のアルバイト学生2名に助けられ、竹や草に覆われてしまっていた農地を片付け、20本ちかくの果樹を植えた。販売用の果樹ではないので、手間をかける必要もない。何とイチジクは1年目の今年からおいしい実をつけた。

子猫は父親似のキジトラ猫 母親は黒猫
また、農場には日々の楽しみもある。昨年の晩秋、作業場に野良猫の家族(両親と子猫の3匹)が来始めた。段ボール箱を加工した寝床を作ってあげたら、暖かさと安全が得られたためか作業場に住み着いた。オス猫は自分の子どもさえ世話をしないと聞いていたが、そんなことはないようだ。両親は根っからの野良なので今でも警戒心を抱いているが、子猫は農場育ちのためか名前を呼ぶとすっ飛んでくる。撫でてあげると、気持ち良さそうな声を出す。かわいい。お陰で、私の寿命が延びた気がする。
そんなこんなで余生は、各種の旬の野菜だけでなく四季折々の果樹を頂き、季節の移ろいを全身で受け止め、農場のたくさんの生き物と語らい、心穏やかに日々を楽しみたい。
(文責:鴇田 三芳)

