社会・政治

百姓雑話

第155話 新たなグレート・ジャーニー

初冬の冷たい北風が吹く日、近くの大きな調整池に鴨が飛来した。長旅の疲れをいやすかのように、風に揺れてキラキラ輝く陽だまりをゆっくり泳いでいる。鴨の体を人間に換算すれば、世界一周くらいの距離を飛んで来るのだろうか。その旅は、まさに生き延びるた...
百姓雑話

第154話 姥捨て山

「姥捨て山」という民話がある。あまりの貧しさに老人を山奥に捨ててしまう話しで、いわゆる「口減らし」の風習を描いている。家族や集団が生き延びるための究極の選択とはいえ、悲しい風習である。かつて難民キャンプで見た光景も同じで、まず働き盛りの男性...
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第147話 三「毒」

私たちの身の回りには、少なくても三種類の毒がある。空気毒、飲食毒、環境毒である。 半月ほど前に御嶽山が噴火したが、その際に硫化水素が大量に噴出された。人命をいとも簡単に奪う有毒ガスであるが、幸い私たちの日常にはほとんど存在していない。いま私...
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第142話 問題製造業

これからの2ヵ月は年間でもっとも厄介な季節である。とりわけ台風による暴風と害虫による被害は悩ましい。前者は、野菜の被害だけではなく施設を破壊することもあるので、なおさらである。農業の宿命とはいえ、厳しい現実である。離農する農民が後を絶たない...
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第130話 虐(しいた)げられた者が新しい時代を切り拓く(2)

人類は賢いか、それとも愚かなのか。難しい問いである。これから述べることは、どちらかと言えば「人類は賢い」という観点から考察した結果である。 前話では、「いにしえより虐(しいた)げられてきた農民が搾取されない時代が来る」と述べた。その根拠とし...