文明・歴史

百姓雑話

第222話 根絶の思想、共存の摂理(1)

今月5日は啓蟄(けいちつ)、そして今日は春分の日です。歳を重ねるたびに、冬がとても長く感じられるようになり、「やっと春が来た」という気がします。春を感じて畑では、菜の花にミツバチが既に現われ、先週はモンシロチウが1匹初見されました。羽を生や...
百姓雑話

第206話 落ちる

秋も深まり、落ち葉が積もっている。悩ましい雑草も、ほとんど枯れ種を大地に落とし、命を明日につなげた。この頃になると、越冬野菜の作付けもすべて終わり、「今年も元気に働けて本当に良かった」という感謝の念をいだく。 ところで、「落ちる」という言葉...
百姓雑話

第204話 効率と寿命

効率は経済活動の基本的なエレメントになっている。効率を追求しない仕事は稀有である。芸術家や哲学者、文筆家や評論家、あるいは宗教家や厭世家でもないかぎり、「まんざら非効率も悪くはないではないか」などと口にしにくい。競争社会で日々もまれている人...
百姓雑話

第201話 文明の代償

私は便利さや快適さとはまったく無縁の農村地帯で生まれ育った。土間に積まれたレンガの竈(かまど)で藁(わら)や木くずを燃やし日々の食事を煮炊きした。お風呂も鉄製の風呂釜、いわゆる「五右衛門風呂」で、井戸水を満たし籾殻(もみがら)や落ち葉を燃や...
百姓雑話

第188話 モダン・タイムス

梅雨が明けた。関東地方は、エルニーニョ現象の影響もあってか、梅雨入り宣言後も雨がほとんど降らなかったので、明けるのが遅くなると予測していた。しかし、明けてみれば、ほぼ例年並みであった。強い日差しと高温のために、各種の夏野菜がたくさん採れ始め...