百姓雑話

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第82話 DNAの叫び

30年ほど前、私は難民キャンプで働いていたことがある。食料に事欠き痩せ細った難民たちでも、なぜか次から次と子どもを産む。その現象をさして、ある援助スタッフが「連中は暇だから、やってばかりいるからさ」と言い放った。同席していた誰もが肯定した。...
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第81話 毒を喰う

ハウス栽培であれば雨の影響を受けないのだが、露地栽培はお天気次第である。雨でぬかるんだ泥に足をとられ、カッパの中を汗が流れ落ちる。収穫した野菜は泥で汚れ洗わなければならなくなる。そんな辛い作業の最中に、「こんな雨がエチオピアのアビシニア高原...
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第80話 餌(えさ)を喰う

ある高齢の料理家が印象的なことをおっしゃった。「お袋の味が家庭から消え、今や袋の味になってしまいました」と。現代の食生活をうまく言いあてていると感心した。 ところで、「餌(えさ)」と聞いて、あなたは何を連想されるだろうか。豚や牛などの家畜で...
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第79話 余計なお節介

私は発酵食品をよく食べる。ヨーグルトは毎食、納豆は昼食時に毎日欠かさず食べている。だから、胃腸の調子がとても良い。 ところで、納豆を食べる時、「まったく余計なお節介だな」とたびたび思う。例の小さなパック詰めの醤油とマスタードである。特にマス...
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第78話 資本主義の衰退(2)

このご時世で、資本主義の根幹であるインフレを誰が望んでいるのだろうか。かすかすの蓄財や年金で生活している老人が望んでいるだろうか。住宅ローンを抱えている人々が望んでいるだろうか。子どもの学費を稼ぎだすために自分の小遣い銭も気にしている人が望...