第388話 稲作革命

百姓雑話

久々に明るいニュースを見ました。水田の雑草を抑制してくれる除草ロボットが開発されたというものです。

戦後、稲作には3つの技術が導入され、農家の過酷な労働を劇的に低減してきました。稲作農家に生まれ育った私は、それらの技術の貢献を明確に記憶しています。まず、用水路と排水路が整然と掘られ水田内に暗渠(あんきょ)が張り巡らされたこと。次に、機械化されたこと。そして、負の側面がつきまとうものの労働低減には貢献した農薬と化学肥料の導入の3つです。

功罪の二面性を持つ農薬と化学肥料の使用に対して、ロボットによる除草とドローンによる生育状況の可視化が、極めて有効と私は思っています。実際、私の住んでいる白井市では、除草剤しか農薬は使われていません。除草ロボットが実用化され採算も合えば、農薬はもう要りません。

また、病害虫などの発生具合もドローンによって容易に可視化されるようになったので、この技術も農薬の削減に貢献するでしょう。

かつて、稲作から得られるものは米だけではありませんでした。稲や麦の藁(わら)も重要な収穫物でした。畳や縄、壁などの材料になり、燃料などにもなりました。また耕作の使役となる牛馬の餌にも。夕飯は子どもの私が藁を燃やして料理するのが日課でした。冬場の農閑期に父が販売用の縄や莚(むしろ)を編んでいる様子を今でもおぼえています。

その稲わらも、今では米の収穫時に細断され田にもどされています。そのため、昔ほど肥料を入れなくても稲は育つようになりました。くわえて、ドローンによって肥料むらを可視化できるので、いっそう肥料を削減できます。

米の消費が年々減り続けてきましたが、除草ロボットとドローンがさらなる労働低減とコスト削減を実現し、安全性の向上にも寄与すれば、米の消費減少にブレーキがかかるような可能性も秘めています。そこに稲作の明るい未来があることを私は期待しています。

(文責:鴇田 三芳)