文明・歴史

百姓雑話

第314話 命

師走ともなると冷え込んだ朝は、写真のように野菜の地上部がすべて凍りつく。人間であれば、さしずめ凍死状態である。しかし、越冬できる植物は、陽ざしを浴びると夕方までには命をふきかえす。 かつて、自然農法を長く実践された故・福岡正信氏が「植物は神...
百姓雑話

第310話 生産革命

近年の産業界の激変を新たな産業革命と見ている人たちがいる。確かに激しい変化の真っただ中にあり、巨万の富を築く人がいれば、その一方で職を失う人が世界中であふれている。 ところで、人類は生き抜くために必死に日々の営みを続けてきた。この絶え間ない...
百姓雑話

第305話 横暴な臓器

私の国民健康保険証の裏には、臓器提供の可否を記入する欄がある。火葬場でただ燃やされるだけでは、臓器異常で苦しんでいる人たちに申し訳ないので、提供欄のすべてに丸をつけている。たくさんの人たちに助けられ、どうにか大病せずに生きてこられた感謝のつ...
百姓雑話

第290話 結(ゆ)い

大津波が東北地方の沿岸部を急襲した後、「絆」という言葉が若者にも語られるようになった。その若者たちのほとんどは、スマホを片手にインターネットで瞬時につながるバーチャル・リアリティの中に「絆」を見出しているようだ。 前話の「農民 vs コンピ...
百姓雑話

第268話 光の時代

立春を過ぎた。まだまだ寒さは続くものの、春の兆しが日差しの中に見え始めた。待ちに待った春までもう少し。雪の心配がなくなる春分の日までの辛抱だ。 季節感が鈍った人間たちとは違い、自然の生き物たちは季節の移ろいを敏感に感じている。陽だまりの梅の...