百姓雑話

第97話 豊作貧乏

実りの秋、食欲の秋を迎えた。暑くなく寒くもなく、良い季節だ。この頃になると、種まきや定植がほぼ終わり、収穫の日々が続く。それまでの苦労が報われる気がする。 しかしその一方で、秋には厳しい現実もある。豊作貧乏である。私は、豊作貧乏になると、「...
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第81話 毒を喰う

ハウス栽培であれば雨の影響を受けないのだが、露地栽培はお天気次第である。雨でぬかるんだ泥に足をとられ、カッパの中を汗が流れ落ちる。収穫した野菜は泥で汚れ洗わなければならなくなる。そんな辛い作業の最中に、「こんな雨がエチオピアのアビシニア高原...
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第80話 餌(えさ)を喰う

ある高齢の料理家が印象的なことをおっしゃった。「お袋の味が家庭から消え、今や袋の味になってしまいました」と。現代の食生活をうまく言いあてていると感心した。 ところで、「餌(えさ)」と聞いて、あなたは何を連想されるだろうか。豚や牛などの家畜で...
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第38話 癌と生きる(1)

癌は、自らの細胞が異常をきたす、究極の病気である。その原因はいろいろあるという。有害物質の飲食や不適切な食生活、およびタバコなどの有害物質の吸引が主なものだが、ウィルスや細菌の感染、紫外線や放射線の被爆なども原因となっている。日本における死...
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第35話 食の旬、収穫の旬

「大根、ないんですか?」 数日前、ある店舗の地場野菜コーナーに研修生T君が野菜を並べている時、初老のご婦人から声をかけられた。どうせ買うなら地場産のものが良いと思って来られたのだろうが、この地方では真夏に大根は採れない。その方の気持ちは十分...