数ある野菜の中で、野菜の王様は何だろうか。
つい最近発行された「40歳からは食べ方を変えなさい!」(医学博士・済陽高穂著)を読んだ。健康に関心のある方なら、つい手に取りそうな本である。タイトルから想像つくように、健康に良い食材や食べ方が書いてある。農産物としては、玄米、大根、キャベツ、ブロッコリー、人参、トマト、にんにく、玉ねぎ、ごま、りんご、レモン、ぶどう、大豆、椎茸、ジャガ芋、緑茶、蜂蜜が推奨されている。
それら中で、ブロッコリーに野菜の王様という栄誉が与えられている。まったく同感である。著書によると、ブロッコリーには、200種類以上のフィトケミカルが含まれ、抗酸化力が抜群だという。つまり、ガンや老化などの原因の一つである酸化を抑える。また、緑色の素である葉緑素は、強力な抗酸化力にくわえ、血中の悪玉コレステロールを減らし善玉コレステロールを増やす働きがあると指摘されている。さらに、ブロッコリーや大根、小松菜などのアブラナ科の野菜に含まれている辛み成分は、体内で「スルフォラファン」という物質に変化し、食事や呼吸で体内に取り込まれた有害物質を解毒する酵素を活性化するというから、まさに野菜の王様である。著書の中では触れられていないが、ブロッコリーに含まれるビタミンCは、菜の花とパセリとともに、野菜の中ではもっとも多い。
余談だが、野菜の女王様、王子様、お姫様は何であろうか。もちろん、個人の嗜好や食習慣などが関わるので一般化はできないだろうが、私の思うものを挙げたい。まず、女王様にはトマトをいち押ししたい。これは大方の賛同が得られるだろう。次に王子様として枝豆はどうだろうか。一昔前なら胡瓜かもしれないが、胡瓜は私の選抜基準にあわないので、枝豆を王子様にした。そして、お姫様は何といっても苺である。あの形状と色合いが乳首にそっくりで、漢字にも母の字が入っている。
これら4品目に共通している、私の選抜基準は4つある。一つ目は栄養が豊富で健康にとても良いことである。次に美味しいこと。これら4品目を美味しくないという人はきわめて少ないのではないだろうか。三番目は手軽に食べられること。手の込んだ料理をしなくても食べられる。そして最後は手頃な値段でどこでも買えることである。
では将来、これらの野菜の地位は変わるだろうか。私は、まず変わらないだろうと思っている。なぜなら、すでに農産物の貿易が世界の隅々まで行き届いていて、新たな野菜が流通することはまずありえないからである。それでも、あえて一つの可能性を挙げれば、遺伝子組み換えで新たに出現するかもしれない「スーパー・ベジタブル」であろう。
(文責:鴇田 三芳)