第422話 なぜ米の消費が減りパンなどの小麦食品が増えてきたのか

百姓雑話
dav

農林水産省のデータによると、米の生産量は1967年にピークの1426万トンに達し、その後減り続けてきた。近年は700万トン半ばを増減している。小麦の消費量よりわずかに多いだけである。また、日本の食料自給率(カロリーベース)も1965年をピークに減少し続け、今や40%を切っている。

その原因には「日本をアメリカの食料に大きく依存させる」というアメリカの食料戦略があったが、今話では違った角度からその原因を考えてみたい。

戦後日本では、経済成長とともに1980年頃にかけて、小麦の消費が増えてきた。(参照:農林水産省「国産小麦の現状と今後の課題」event-16.pdf)その増加を満たすように輸入小麦も増え続け、近年は消費量の85~90%を占めている。

また、国民一人当たりの小麦の年間消費量は1967年にかけて激増したが、その後はほぼ30数キロで推移し安定的に消費されてきた。

その小麦の用途はパンがもっとも多い。全用途の29%をパンだけで占めている。(2009年農林水産省データ)

こうなった背景には、1954年に制定された「学校給食法」の施行により急速に普及してきた学校給食の影響がある。1976年に米飯の給食が正式導入されるまで、パンは学校給食の主食として定着してきた。パンや牛乳を中心とした学校給食は日本の洋食化と、それにともなう米の消費減少と小麦の消費増加、さらには食料自給率の低下に多大な影響を与えたことは間違いない。

さてこれから、表題にあげた「なぜパンなどの小麦食品が増えてきたのか」考えてみたい。

パンが日本でこれほどまでに食べられるようになった理由を、ご飯と比較し、7つ指摘したい。①手軽に食べられる。ご飯のように炊く必要がない。②保存性が良い。パンは、添加物の働きで常温でも1週間くらいは悪くならず、味の変化もほとんどない。③食パンは割安である。ただし、近年の円安とエネルギー価格の上昇により、カロリーベース換算でご飯と食パンの価格はほぼ同じである。④パンは、砂糖や調味料、バターやマーガリンなどの添加物が加えられているため、おいしいと感じやすい。⑤種類も味も豊富である。⑥パンは消化吸収が早いため、ご飯よりも血糖値の上昇が早く満足感を得やすい。⑦ご飯は家で簡単に炊けるが、パンのほとんどは企業が作るため、企業の経済活動に寄与する。

さらに、米と小麦を比較した場合でも、小麦のほうに優位性がある。それは、小麦粉はいろいろな食材に加工できる点である。①パン類(食パン、菓子パン、ピザ生地、パン粉など)、②麺類(うどん、そうめん、そば、中華麺、焼きそばなど)、③パスタ類、④菓子やスイーツ、⑤その他(お好み焼き、餃子やシューマイの皮、揚げ物の衣、カレーやシチューのルウ、醤油、加工肉、練り物など)。ざっと挙げただけでも両手に余る。

こう分析してみると、米の消費が減ってパンなどの小麦食品が増えてきたのは自然の成り行きかもしれない。

それでも最後に、小麦製品のマイナス面を4つ指摘しておきたい。①輸入依存による食料安全保障上の問題、②グルテンによる各種の病気の発症、③血糖値の急上昇による糖尿病リスク、④添加物などによって慢性炎症やがんなどが発症する可能性があり、特に危険と指摘されているのが超加工食品。例えば、インスタントラーメンやカップ麺、菓子パンやスナック菓子、ソーセージなどの加工肉、カレーやシチューのルーなど。

小麦食品の問題については、百姓雑話「第341話 私はパンを食べません」( https://kaisei-f.com/?p=6141 )で経験談を記しました。

(文責:鴇田 三芳)