第341話 私はパンを食べません

百姓雑話

この頃、町のケーキ屋さんが減っているそうです。製パン会社やコンビニのケーキに押されたためかと思っていたら、そうでもないらしい。ケーキよりも値段が手ごろなパンにシフトしているとテレビが伝えていました。それも、食パン・ブームとか。わが家の近くにも写真のようなお店が近々オープンします。

かつて、私もパンが大好きでした。独身時代は、出勤前の朝食はきまって食パンにポテト・サラダ、ゆで卵、それにミルクティー。食パンにはマーガリンと甘いジャムをたっぷりのせるのが定番でした。田舎者のためか、都会に出るまでパンを日常的に食べられなかった反動かもしれません。

結婚してからは、市販のパンに飽き足らず、パン焼き器を買って自家製パンにのめり込みました。焼きたてパンの何とおいしかったことか。いつしか、食パンの虜になっていました。

食パンだけでなく、甘いお菓子も大好きでした。農作業はかなりカロリーを消費するので、今から10年前くらいまでは、10時と3時の間食はお菓子三昧。

そんな私が、3.11の大震災があった頃から、ぱったりと間食をやめました。間食は体に良くないことを自覚したからです。とりわけ、甘いお菓子はいけません。糖尿病の原因となるだけでなく、老化を早めるという医学的知見が通説のようです。

余談になりますが、人類は、穀物を栽培し始めた頃から一気にその数を増やし、世界各地に文明を築いたと言われています。その穀物を私たちは二通りの食べ方をしてきました。粉にして加熱処理する方法と粒のまま火を通して食べる方法です。前者はパンや麺類などに代表される「粉食」、後者はご飯の「粒食」です。世界的には粉食が優勢です。

粉食は、糖尿病のリスクを高めたり老化を早める他にも、日本人にとって粉食の問題は二つあります。一つ目は、小麦のほとんどが輸入であることです。もう一つは輸入小麦から発ガン性が疑われている化学物質が高い濃度で検出されていることです。後者は本で読んだだけなので確証はありませんが、「さもありなん」です。

こんな理由で、2年ほど前から、私は小麦粉製品をできるだけ食べないようにしています。パンはまったく食べません。慣れれば、何の不自由も不満も感じません。食の豊かな日本には、他にも食べ物がたくさんありますので。

(文責:鴇田 三芳)