第252話 キンモクセイの香り

百姓雑話

今年もキンモクセイの季節があっという間に過ぎました。私はこの花の匂いが好きで毎年キンモクセイの香りが漂い出すとなぜか幼少の頃を思い出します。キンモクセイの香る期間は10日くらいでしょうか、もう少し長く咲いていてほしいなと思います。キンモクセイについて何も知らないので色々調べてみました。

日本には元々なかったようで江戸時代に中国から運ばれたようです。雄雌の木が別で日本には香りの強い雄の木しか入ってこなかったとのことです。そしてあの香りは主に以下の5つの化合物に由来されるようです。これをみますといずれも炭素、酸素、水素からなる化合物でどれも似たような組成をしています。特にγ-デカラクトンとリナロールオキシドは全く同じ組成ですが前者は5角形の環状構造、後者は6角形の環状構造を持つといったように構造が異なります。

キンモクセイの主な香り成分は、①β-イオノン (スミレの花香に似た芳香を持ち、香料として広く用いられる。)②リナロール( 天然に多く存在する香気成分。)③γ-デカラクトン (フルーティでピーチのような香り。)④リナロールオキシド(多くの天然物、精油に微量含まれる液体状の香料。)⑤cis-3-ヘキセノール ( 葉の青くさい香りの本体。香料として広く利用されている。)

そもそも我々が香りを感じる仕組みは、その元となる化学物質が鼻の嗅覚細胞に結合して、嗅覚神経を刺激し、これが脳で検知され香りとして感じているということで、匂いを感ジるためには元となる化学物質が鼻の嗅覚細胞に結合する必要があり、芳香物質は次のような性質をもっています。 ①揮発性があること。②水溶性 または 脂溶性 または アルコール可溶性であること,。

揮発して鼻の中の嗅覚器官まで達しなければ匂わないということ、嗅覚器官に達したら、そこで水分や脂肪分に溶けて(細胞壁を透過するために、特に脂溶性が重要)嗅覚神経に達し、これを刺激しなければ匂わないということです。

臭い成分の化学構造を見ていますと多くが環状構造を持ちます。炭素の環状構造を持つ化合物を芳香族ということは学生時代に習いました。なぜこのようなおしゃれな呼び方をするのか、英語ではaromatic compounds、これが和訳されたものと想像されます。おそらく環状構造を持つ化合物の多くがいい臭いを持つことと無関係ではないでしょう。

香りのことを書いているうちに、「いい香りと悪臭の差は何なのか」という疑問が出てきました。大きな要因として考えられることは、「いい香り=おいしい物」の結びつきです。いい臭いはおいしいものを連想させます。逆に体に悪い影響を及ぼす化学物質(毒物)は悪臭と捉えられるよう進化してきたでしょう。しかし甘いいい香りと感じるγ-デカラクトンですが、多くの昆虫にとっては嫌な臭いのようで、モンシロチョウは避けるようですし、腕にキンモクセイの香りを塗ったら蚊に刺されないというような情報までありました。いい香りの基準は生物の種類によって違うようです。もっともキンモクセイの香りが嫌いな方もいるでしょうから、いい香りの基準はヒトという同一種でも異なるのかもしれません。 本稿は以下のホームページを引用、参考にさせていただきました。 wikipedia, 花の香りの正体http://iromizu.com/hana_kaori.html, 金木犀のおもしろ話題集http://www.kinmokusei.co/07.html,

(文責:塚田 創)