第303話 お節介

百姓雑話

つい最近、なりたくもなかった高齢者になってしまいました。そのせいか、ついついお節介心が言動に出てしまいます。高齢者のお節介は、長い人生経験がそうさせるので、根底に善意があります。それに免じて、私のお節介を一読いただければ、幸いです。

私は、四半世紀前から農業を始めました。その動機の一つが健康です。長年スギ花粉症で悩み、しょっちゅう風邪を引く体質だったため、健康を強く意識するようになったのです。とりわけ飲食には相当気をつけてきました。

まずは、体内水分量を適切に、かつ安定的に保つことが重要です。それには、適時適量の水分補給が欠かせません。高齢者でもない限り、睡眠中に小用で起きるのは、水分の摂り過ぎか、あるいは健康上の問題がありそうです。水分補給の際、甘い飲料は極力避けます。特に空腹時に甘い飲み物を飲むと一気に血糖値が上昇するので、NG。常に血糖値が高い状態と血糖値の急激な上昇と下降は、糖尿病はもとより、万病のもとです。

次に、間食はしません。カロリーの摂り過ぎと血糖値の急上昇に加え、胃腸に休む間を与えないからです。激しい運動や重労働でエネルギー欠乏を起こしていない限り、間食は「糖質中毒」です。糖質は、アルコールやタバコと同じように、過度の依存症を招きます。

穀類は、糖質を効率的に摂取でき分解の過程で有害物質を出さない点では優れていますが、種類や食べ方に十分な配慮をしないと、健康を害する原因になります。穀類は、お米のように粒のまま食べる粒食と、粉にして食べる粉食があります。パン類、麺類、スープ、餅などは後者の粉食です。粉食は、消化吸収が良い反面、それが故に血糖値を一気に高めます。したがって、できるだけ粉食はしない方がいいでしょう。粒食でも、できれば精製された物は避けたい。消化に問題がない場合は、少し硬めの玄米ご飯がいいでしょう。よく噛んで食べるのは健康維持の入り口です。

味の濃い物、辛い物、甘い物も健康上は要注意です。

飽和脂肪酸の多い油物や牛肉や豚肉などの脂分も悪玉コレステロールを増やし要注意。できるだけ脂分は、不飽和脂肪酸を多く含む魚や豆、ナッツ類がいいでしょう。

そして、食べる順番も大事です。太めの人、あるいは肉体をあまり使わない人は、夕食時に糖質を取る必要がないと私は思っている。

「こんなふうに食べ物に多くの制限を加えると、食べる楽しみがなくなる」と思われるかもしれませんが、できれば他に楽しいことを見つけましょう。

長々と高齢者のお節介でした。

(文責:鴇田 三芳)