第313話 闇

百姓雑話
夕暮れの畑

もうじき冬至。日差しがもっとも弱い季節になり、4時半にはとっぷり暮れる。写真のように見事な夕焼けが南西の地平に広がると、夕暮れまで遊びまわっていた幼い日が昨日のことのように蘇る。戻れるならあの頃に戻りたいと思ってみても、しょせん叶わぬ虚しさに襲われ溜息をついてしまう。

私の農場は辺鄙(へんぴ)な田舎にあるので、月明かりがないと家路につく頃はもう真っ暗である。無数の星々がまたたく夜空を見上げ宇宙に想いをめぐらすと、なぜか「宇宙が神である」と思えてくる。

闇が光となり、光が闇となる宇宙。無が有となり、有が無となる宇宙。悠久無辺の宇宙には、始まりと終わりが混在し、無限の闇・ブラックホールがきっと無数に存在しているのだろう。ちっぽけな私の想像力をはるかに超えている。

地球生命の起源を宇宙にたどっていくとどこに行きつくのだろうか。そして、はるか未来は一体どうなるのだろうか。無限の闇に消えていくのだろうか。

とりとめもない空想からさめ車で帰宅すると、いつもながらマスメディアからは暗いニュースが切れ目なく流れ出してくる。それらを見聞きするにつけ、人は昔も今も闇の中で蠢(うごめ)き、闇に支配されていることを思い知らされる。

そして私自身も、高齢者と呼ばれる歳になった今でも、底深い心の闇と格闘している。たぶん、現世では捨てきれないかもしれない。

(文責:鴇田 三芳)