第387話 誰がやるのか?

百姓雑話
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今年は本当に良い年でした。台風の襲来がなく、何よりも何人もの人たちが働いてくださり、ありがたい。

皆生農園では現在、フルタイムの私に加え、パートタイム5名で営農されています。この6名のうち、私を含め3名が高齢者で、いわば「シルバー・ファーム」です。物忘れやうっかりミスが日常的な高齢者が足腰のおぼつかない身を粉にして働いています。日本の農家の平均年齢は70歳前後と言われていて、皆生農園は日本の農家そのものです。

ところで先月末、農業協同組合新聞の記事が目を引きつけました。引用しますと、

「スイスは、国土の7割が山岳地帯だが、食料自給率は日本を11ポイント上回る49%(2022年公表)。小麦やトウモロコシを栽培する農業経営者は、総収入約1680万円の内、約3分の1に当たる約620万円が補助金で、――中略―― 条件不利地でも農業を継続できるよう支えるための予算は約3500億円。農家が安定して食料を生産するための制度は、国民自らが選択したとのこと。――中略――1996年に国民投票が実施され、国民が選んだのは食料の安定供給に必要な範囲で、農家を守ること。それは、「国は国民に対して食料の供給を保障する」「農業は市場に沿った形で持続可能な生産を行なう」と憲法に明文化された。――中略―― 充実した制度の結果、若い人材が次々と育っている。農業の専門学校(授業料無料)の生徒数はこの30年で3倍近く増えたとのこと。ちなみに、スイスの農家の平均年齢は49歳と若いが、国からの収入が補助されるのは65歳までで、若手に手厚く補助することで、世代交代を促進している。(引用終了)

国と農家と国民が日本とはあまりにも違い、愕然としました。

記事の後半にこんなアンケート結果がありました。引用します。

民間のシンクタンクである紀尾町戦略研究所の調査結果(今年10月13日、全国の18歳以上の男女1000人を対象)は国民の農業に関する潜在意識を浮かび上がられる興味深い結果を示している。日本の農業の現状については、「問題だと思う」58.2%、「やや問題だと思う」36.1%、「問題だとは思わない」0.5%、「わからない」2.7%。大別すれば、94.3%が「問題」としている。(引用終了)

この国民の潜在意識がほぼ正しいと考えた時、この意識と現実の間があまりのも乖離していることにも愕然としました。

この乖離は、「誰が農業をやるのか?」という現実的問いに対して具体的な方策がなされない限り、決して埋まらない気がしてなりません。

 

(文責:鴇田 三芳)