第250話 諸説紛々

百姓雑話

「健康オタク」という流行語があります。必要以上に健康に敏感な人をさすのでしょう。

私は、朝と昼の食事は自分でささっと料理します。慣れたもので、まったく苦になりません。栄養のバランスと安全性を重視し、基本的に自前の野菜を中心に作ります。調理方法や見かけはまったく気にしていません。もちろん、外食などもってのほかです。どんな食材を喰わされるかわからないからです。たぶん、自分ではそう思っていないのですが、傍からは健康オタクと見られていると思います。

そんな訳で、コンビニやスーパーなどのブック・コーナーによく立ち寄り、健康書が目に留まると、ついつい買ってきます。そして、何冊も読み進むにつれ、「どっちの方が正しいのだろうか?」という疑問がいくつも出てきます。

●その1:食事の回数。「日に3食しっかり食べなければいけない。特に朝食抜きは問題だ」という意見が主流でしょうが、「日に2食の方が健康にいい」という意見もあります。

●その2:卵。「卵は完全栄養食なので、毎日1個は食べるべきだ」という意見と、「コレステロールが多いので毎日食べるのは問題だ」という意見もよく聞くようになりました。

●その3:ヨーグルト。「腸内環境を良くするために、乳酸菌の豊富なヨーグルトを積極的に摂るべきだ」という意見がある一方で、「乳製品を分解する酵素がない日本人が多いので、食べても意味がなく、弊害すらある」と言う医師もおられます。

●その4:果物。「日本人は果物の摂取量が少な過ぎる。ビタミン補給のためにもっと食べた方がいい」という意見があります。実際、先進国の中では、日本人が食べる果物の量は極めて少なく、年々減る傾向にあります。その意見に対し、「果物はカリウムが多く含まれているため、体を冷やし免疫力を低下させる。また、甘い果物に多く含まれる果糖は血糖値を急激に上昇させる。これらの理由で、果物はあまり食べない方がいい。」という指摘もあります。

●その5:水。「人の体の60%ほどが水であり、しっかり水分を摂らなければならない。特に暑い季節や湯上りには積極的に飲みましょう」という意見が一般的かと思いますが、「水は体を冷やし免疫力を落とす。加えて、尿とともにミネラル分を排泄してしまう。食事から水分はかなり摂取できるので、取り立てて水を積極的に摂る必要はない」という意見もあります。

●その6:人参。「人参は、緑黄色野菜の筆頭で抗がん作用も強く、たくさん食べよう。ジュースにして毎朝摂ると、健康上とてもいい」という意見に対し、「人参は、血糖値を一気に上げるので、ほどほどに食べるべきである。ジュースにして寝起きに飲むのはもっての外である」という消極的な意見もあります。

●その7:糖質。「糖質は、エネルギー源として非常に効率的であり、分解の過程で有害物質が出ないので、しっかり食べましょう」という考えが今でも一般的です。日本では昔から、ご飯だけで済ます習慣が綿々と続いてきました。今でも、スナック菓子、パン、おにぎりなどはコンビニの定番メニューになっています。実際、糖質食品がもっとも安いカロリー源です。しかし、「糖質は、老化を促進するので、摂取を制限したほうが長生きする」という新たな指摘がなされ、そのような実験結果もあるそうです。

結局のところ、基本的に自分の体を守るのは自分自身で、医者や薬ではありません。自分の頭でしっかり考え、自分の体の調子を敏感に察知するしかないのでしょうね。

(文責:鴇田 三芳)