体調が悪くなければ、私は毎日農場に行きます。年末年始でも、育苗ハウスの換気や苗への水やりにくわえ、夫婦猫とその子の3匹が私を待っているからです。
ところで例年、年始に欠かせない仕事があります。去年をふりかえり今年の計画を立てることです。今年は、計画をたてるうえで、次の4つの基本方針を立てました。①体のあちこちが弱ってきたので、私の労働時間を減らす。②稼ぐ農業から楽しむ農業に転換する。例えば、露地イチゴや果樹にもっと時間をさく。③全体の作付面積と収益性の悪い作物をそれぞれ減らしつつも、失敗も減らすことで年間の売上額は減らさない。④農園を若者に移譲するために、後継者を探し育てる。
作業は去年をふりかえることから始めます。期待どおりの成果と逆に失敗したことを洗いだし、失敗についてはその原因を明確にします。成功には偶然があっても、失敗には必ず原因があるからです。その原因をさぐる際、天候の長期予測がどの程度的中したか、野菜の栽培時期と品種は適当だったか、人手の配分に過不足はなかったか、予期していなかったことへの対応は適切だったか、出費に無駄はなかったか、体調管理に無理はなかったか、などを考慮します。これらのことを念頭に、作物ごとに評価します。
例えば、もっとも作付けるブロッコリーについては、こんな具合です。①昨年の越冬ブロッコリーは、ラニーニャ現象による暖冬のために寒さの被害がなく生育も順調で、予想以上に収穫量が増えた。②そのために、収穫期間が長びき片付けが遅れ、ハスモンヨトウを発生させてしまった。③その悪影響は夏から秋にかけても残ってしまった。
露地ナスについては、①夏から秋にかけて記録的な高温が続いたために11月上旬まで収穫でき、期待以上の売り上げがあった。②全国的にカメムシが大発生し(千葉県では警報が出た)、私の農園でも被害が多発した。③そのため、良品と不良品の識別が難しく、私以外の者は収穫・荷造りができず、人手の配分が乱れた。④ナスに手間取った分、ネギと里芋の雑草対策が後手にまわった。⑤結果的に、ナスの増収分はネギと里芋の減収分で相殺されてしまった。
このような評価をもとに、ブロッコリーについては次のように計画しました。①今冬はエルニーニョ現象による厳冬が予報されており、全国的にブロッコリーの供給が不足し、4月頃まで高値が続くに違いない。②そこで、今回の越冬ブロッコリーは作付面積を増やし、防寒対策を徹底する。③新しい品種も試験栽培する。予報されている厳冬に耐えて越冬できれば、その後も安心して使用できるからである。④作業員も十分確保し、収穫が終わったブロッコリーは次々に撤去し害虫を蔓延させない。
露地ナスについては、①作付面積を減らす。②防虫ネットでカメムシの被害を防ぐ。③浮いた労働力は、草対策と秋冬作にふりむける。
こんな具合に、40種類ほどの野菜について評価し計画を立てます。
私は、この作業が終わると、「さー、今年も頑張るぞ」と気合が入ります。
(文責:鴇田 三芳)