第3話 ホトケノザ

百姓雑話

寒の内というのに、陽だまりではホトケノザが満開である。

名前の由来は仏様が座っておられる台座に葉の形が似ているらしい。この草は、その形だけでなく、情け深い点からも仏様のようだ。というのも、寄生したアブラ虫を養い越冬させるからだ。アブラ虫にとっては、寒さが緩み始め空中に飛び出すまで、ホトケノザは命の糧である。

さたに春になると、ホトケノザに厄介な病気が発生する。ウドンコ病だ。ホトケノザは、ウドンコ病にとっても、これまた仏様のようだ。

しかしホトケノザは、アブラ虫に栄養を奪われウドンコ病におかされても、たくましく子孫を残す。

そんな慈悲深いホトケノザでも、人間にとっては悩ましい。ハコベやナズナとともに、冬場の3大雑草と私は思っている。これらは、夏草に勝るとも劣らない。なかでもホトケノザは、アブラ虫やウドンコ病の汚染源となるだけでなく、ほうれん草の中に生えると、ほうれん草に絡みつき収穫に手こずる。ほうれん草を土で汚す。私にとっては仏様ではなく、厄介者だ。

こんなわけで、ホトケノザを圃場内からできるだけ除去する。その際、ホトケノザの独特な悪臭が鼻をつく。その悪臭は私を諭すようでもある。「アナタもワタシタチのように寛容になりなさい」と。

(文責:鴇田  三芳)