第5話 真冬の積雪

百姓雑話

先週、関東圏でも積雪があった。降りはじめには稲光が走った。日本海側では、冬の雷はよくあるそうだが、関東では珍しい。11月下旬に雷鳴とともに雹が降ったことはあるが、真冬の雷は記憶にない。大寒の頃から、偏西風が南下し、日本付近で大きく蛇行しているためらしい。

雨と違って、雪が降ると露地野菜の収穫と荷造りに苦労する。積雪量が多いと収穫できなくなる。収穫できても、野菜が泥まみれになり、洗わなければならない。水が手を切るように冷たい。手間が増えて時間に追われる。真冬の積雪は実につらい。

厳しい作業の手を休め真っ白な雪原を見渡せば、人間だけが難儀しているわけでもないことに気づく。地表の虫も草の実も雪に埋もれ、最後の命綱である野菜もほとんどが雪におおわれ、鳥たちは餌を探すのに苦労している。特に小鳥は命の危機にさらされているだろう。

それでもブロッコリーは、丈が高いので雪に埋もれず、おいしいこともあって、小鳥の餌になってしまう。群れで食べに来ることもある。追い払っても、こちらの動向をよく見ている。早朝などの人がいない時に飛来し飢えをしのいでいる。

これまた困ったもんだが、連中も必死に生き続けようとしているのだろう。少しくらいの被害なら、目をつぶろう。

(文責:鴇田  三芳)