第12話 キジとヒバリとカッコウと

百姓雑話

鳥の子育てもいろいろである。

学生の頃、よく一人旅に出かけた。宿はきまってユースホステル。安いだけでなく、出会いの機会もあった。ユースホステルを泊まり歩くのは若者の一種のファッションであったように記憶している。もう随分昔のことだが、あの頃が一番楽しかった。夏休み、前半はバイトで稼ぎ、後半には関東周辺の高原へハイキングに行った。そこでカッコウの鳴き声をよく聞いた。

カッコウには托卵という習性がある。鳥に関心のある方なら知っておられよう。他の種類の鳥の巣に自分の卵をそっと産み落として、その鳥に自分の卵を育てさせる繁殖方法だ。生まれたばかりのカッコウの雛は、目も開いていないのに、巣の主の卵、あるいは既に孵化した雛を足で巣の外に落としてしまう。親も親なら、子も子だ。

ところで、彼岸の頃になると、畑の上空からヒバリのさえずりが聞こえてくる。ヒバリは、外敵からの危険を避けるために、人の気配のある畑で子育てすることもあるようだ。去年は、防風用にまいたソルゴーという草の中に、ビバリが3個産卵した。1個は何かに食べられ、1個は何かが巣の外に持ち出したために冷えて孵化せず、最後の1個は多分親鳥が身の危険を感じて子育てを放棄したものと思われる。そこはトマト畑であったので、毎日収穫で私が近くを通っていたかもしれない。

ヒバリの子育てが終わる頃、キジの繁殖行動が始まる。ヒバリと同じようにキジも地面で営巣する。かつてメスが卵を暖めている場面に遭遇したことがある。そっと近くまで忍び寄ってみた。数メートルの距離に近づくまで、身動き一つせず、じっと私を見つめ、卵を守っていた。もう20年近くもたつが、あの時の光景が今でも目に焼き付いている。

キジは、さすがに国鳥だけのことはある。

(文責:鴇田  三芳)