第34話 「つるぼけ」と少子化と太平洋戦争(2)

百姓雑話

 

8月15日。今から67年前、欧米列強に日本帝国が敗れた日である。

今回は、第29話の続きである。「つるぼけ」と太平洋戦争の類似点を探ってみたい。

生き物には、栄養成長と生殖成長という2つの成長過程がある。これら2つの過程を簡単に言えば、栄養成長とは自分の体を大きくする過程で、生殖成長は子孫を残す過程である。生き物によって、この2つの過程がはっきり分かれる物と、同時進行する物とがある。人間は前者である。

本題に入ろう。さつま芋は、日本では花をほとんど咲かせない代わりに、芋という形態で子孫を残す。一般的には、つるを伸ばし葉を茂らせる栄養成長の途中から、子孫を残すための芋を大きくする過程も始め、二つの過程が同時に進む。

ところが、気温が高く肥料や水が多いと、つるばかり伸ばしていくものの、芋がなかなか肥大しない。そして、子孫を残す過程が始らないまま、晩秋を迎えて霜で枯れてしまう。この現象を「つるぼけ」と言う。

さて、この「さつま芋のつるぼけ」を第二次世界大戦での日本帝国の戦いに置き換えてみよう。気温が高く肥料や水が多いと(国民の戦意が高く経済力や軍事力が増すと)、つるばかり伸ばしていくものの(戦線を四方八方に拡大していくものの)、芋がなかなか肥大しない(日本国民が占領地になかなか根付かない)。そして、子孫を残す過程が始らないまま(占領地に同化する間もなく)、晩秋を迎えて霜で枯れてしまう(アメリカとの海戦に敗れた時を境に急速に敗戦へと向かった)

いつの頃からか、人間は「ホモ・サピエンス(賢い人)」と自称し始めた。しかし、その行ないはさつま芋と大差ないのではないだろうか。

(文責:鴇田  三芳)