第58話 組織を生き生きとつなげる(2)

百姓雑話

組織を若く生き生きと保ち、その構成員や社会にとって有意義な存在であり続けさせるのは、実に至難の業である。それでも、組織を苦労して産んだ者は、人の性かもしれないが、ほぼ例外なく長生きさせたいと切望する。

ではどうしたら良いのだろうか。

まず、既に述べたように、構成員間のオープンでダイナミックな意思疎通と交流を良好に保つことである。組織を横断的に結びつけるようなコミュニケーションが重要で、社内新聞などでは物足りない。お互いの現場を具体的に理解し合い、必要な場合はプロジェクトごとにチームや組織を組みかえる。

また、組織の肥大化に比例して中核となる人の数を増やすことは絶対に避けるべきである。組織の重要な決定をする中核の人の比率を必要最小限に抑える。もちろん、最小限にすることで弊害も起こる。例えば、トップ・ダウンになりやすい。しかし、以下のようなことを構成員が日々実践し、ボトム・アップを重視すれば良い。

その日々の実践とは、構成員が皆、成長著しい幼子のように「なんで?どうして?」という、好奇心と探求心に満ちた問いを何事に対しても抱くことである。そして、自ら進んで広く深く考え、思考することを好きになることである。

そして思考が好きになれば、いろいろなアイディアが浮かんでくる。そこで、失敗を恐れず新たな事にチャレンジすることを組織をあげて推奨することである。もちろん、チャレンジに失敗はつきものである。そんな時でも、非難や中傷、懲罰などに埋没せず、その原因を徹底的に探求し次のチャレンジの糧にする。しかしその一方で、失敗した責任を取らざるを得ない場合は、分け隔てなく、責任と権限に応じて誰でも責任を取ることである。

さらに、組織が子どものように生き生きと元気であれば、日々いろいろな問題に直面する。そこで重要なことは、発生する問題から目をそむけることなく、問題を前向きに受け止め、新たな創造の糧にできる人々が組織の主流になることである。いわば、「災い転じて福となす」という諺を実践できる人々である。そのような人たちは、一般的な傾向として、常識にとらわれず柔軟でダイナミックな発想をする人々でもある。

最後にもう一つ。古くなった皮膚は垢として落ちるように、中核となる人々がその地位に居座らないことである。もちろん、世襲は避けなければならない。

これらの方策を一言で表現すれば、「組織の新陳代謝を停滞させないこと」である。生まれたばかりの皆生農園は今のところ4名という小さな集団で、活力に溢れている。しかし、「組織は肥大化をめざす」という法則に従えば、将来もっと大きな集団になるかもしれない。気をつけなければならない。

(文責:鴇田  三芳)