第75話 害虫対策(2)

百姓雑話

世界で温暖化が心配されているにもかかわらず、今年の冬は本当に寒かった。そのためか、春先から害虫がかなり少ない。害虫を食べる天敵も非常に少ない。例年であれば、彼岸頃にはモンシロ蝶が飛び始めるのだが、現在まで数匹しか目撃していない。他の害虫も今まで経験したことがないほど少ない。

ただし、アブラ虫だけは別である。彼岸過ぎから雨が少なくなったら一気に増え始めた。その対策として左の写真のように防虫ネットを多用しているが、作物の種類によっては防虫ネットが使えないこともある。例えば、トマト、ミニトマト、いんげんなどである。これらには、周辺の放棄地などから飛んできたアブラ虫が相当ついてしまった。放置しておくと、梅雨入り前のこの頃は雨が少ないため、アブラ虫天国になる。私たちにとっては、もちろん地獄である。羽のはえたアブラ虫がウヨウヨ飛んでいて、畑に苗を植えた途端に寄生されてしまう。

オクラは、丁度この時期に植えるため、毎年アブラ虫対策に四苦八苦する。今年は最悪の状態になるかもしれない。しかし私どもの農園では、オクラの栽培量が多く、お客様の根強い要望もあるので、失敗することは許されない。今回は、オクラを例にして、害虫対策を述べよう。

オクラを栽培すると、主に3種類の害虫がつく。ネコブ線虫、アブラ虫、それに実を食べる虫である。問題になるのは、ネコブ線虫とアブラ虫だけである。ネコブ線虫がもっとも厄介で、オクラの根にとても寄生しやすく、一度増やしてしますと、土の中にずっと残って多くの種類の野菜にも被害が続く。そのため私は、ネコブ線虫の被害を少しでも減らそうと、植える予定の場所には、冬から何も作付けない。作付けると、ネコブ線虫が越冬して増殖しまうからである。また、手間がかかるものの、種を畑に直接まかず育苗してから植えている。

しかし、この育苗してから植える方法には欠点もある。冒頭でも述べたように、植えるそばからアブラ虫が寄生してしまうからある。そこで、アブラ虫が嫌うキラキラテープを張っておいた畑に植えていく。これである程度アブラ虫の寄生を抑えられるが、それでも寄生される。もしオクラが生育する上で問題になれば、洗剤を薄めて何度かかけるしかない。一昨年は、テントウ虫やクサバカゲロウなどの天敵が多かったため、まったくかけずに済んだが、昨年は石けん水を二度かけ、どうにか収穫にこぎつけた。

ここ5、6年はオクラの栽培で大きな失敗をしたことがないのだが、このような手間をかけないと、私の場合はアブラ虫やネコブ線虫を抑えることができない。オクラの有機栽培は本当に厄介である。だから、「やりがいがある」とも言える。

(文責:鴇田  三芳)