ハウス栽培と露地栽培とでは害虫の種類と発生時期が異なるが、露地栽培の方が害虫の被害を受けやすい。それらの中でも、特に私が厄介と思っているのは、厄介な順にネコブ線虫、ネキリ虫、カメ虫、タバコ蛾、アブラ虫、ハスモンヨトウ虫で、私が現在とっている対策、あるいは以前行なっていた対策を以下に述べる。
今に至るまで、もっとも厄介な害虫はネコブ線虫である。ネコブ線虫にも好みがあり、サツマネコブ線虫では、オクラ、ツルムラサキ、キュウリ、ナスなどを特に好む。ひとたび増やしてしまったら、作物を栽培し続ける限り土の中で生き続けるようで、根絶させるのはほぼ無理である。作物への悪影響を最小限に抑えつつ、付き合っていくしかない。例えば、被害の出にくい寒い時期に栽培するか、被害を受けにくい作物を栽培する。また、ネコブ線虫を減らす方法もあり、私が試した中で簡単かつ有効なものは以下の4つであった。
一つ目に、線虫を激減させる植物を栽培する方法で、イネ科、キク科、マメ科のものが一般的である。なかでも、マメ科のクロタラリアが、効果と扱いやすさの点などを総合的に見て、もっとも優れていたと私は評価している。
二つ目は、土の中に米糠を大量に混ぜ、水びたしにし、ビニールで表面を覆い、一定期間そのまま放置する方法である。ハウス内で夏場よく行なわれる方法である。露地栽培の場合では、冬に米糠を直接畑に混ぜ込み、そのまま梅雨入り頃まで何も作付けなければ、線虫をかなり抑えられる。この休耕期間に、草を生やしてはいけない。草の種類によっては、線虫を増やすからである。
三つ目は、ネコブ線虫を食べる生物を増やす方法で、堆肥はその一例である。四つ目には、土の中に界面活性作用のあるものを入れる方法である。身近な界面活性剤は洗剤である。かつて、ある研究所の勧めで椿油粕を土の中に混ぜ水浸しにしたところ、効果が見られた。研究所の方によると、サポニンが効果を発揮するようである。
さて次に、ネキリ虫の対策である。基本は、産卵時期にネキリ虫が好む草を生やさないようにし、軟弱な作物には防虫ネットを必ず張ることである。それでも発生させてしまったら、日中は食害した作物の株元に潜んでいるので、一匹一匹手で補殺するしかない。これを怠ると、次から次へと喰われてしまう。あるいは、天敵であるモグラに活躍してもらう手もある。ただし、モグラは作物に悪影響を及ぼすこともあるので、その活用は注意深く行なう。
三番目のカメ虫は、いろいろな作物に被害を及ぼし、農薬もあまり効かない厄介な害虫である。昨年は、なぜかカメ虫が大量に飛来し、露地栽培のミニトマトが最盛期の8月初めにほぼ全滅してしまった。防虫ネットを使えば完璧に防げるのだが、露地栽培の場合、上述のミニトマトのように防虫ネットを使用しにくい作物では被害が出てしまう。かつて、にんにくと唐辛子などを木酢液に漬け込み、その抽出液を水で薄め、洗剤を混ぜてカメ虫にかけかたことがある。カメ虫は仮死状態になり、ある程度の忌避効果もあったが、長続きしなかった。今では、カメ虫の被害にあいやすい作物はカメ虫の発生しにくい農場で栽培している。
続きは次回に述べる。
(文責:鴇田 三芳)