もっとも寒い季節になった。それでも一年中、私は窓を開けたまま眠っている。田舎で育った私は、隙間風の入る部屋でずっと寝ていたので、部屋を閉め切った状態で眠るのは息苦しいのである。温かさを選ぶか、十分な酸素を摂るか、その選択の結果である。
さて、以前書いた第99話の「実験」で健康的な生活について触れたが、この百姓雑話の読者から「具体的に何を実践しているのか知りたい」という声があり、健康を維持するために日々心がけていることを、以下のような「健康十行」として簡潔にまとめてみた。
1.腹式呼吸で良い空気を深く呼吸する。私たちの体は糖を酸素で燃やしてエネルギーを作り出しているので、呼吸がもっとも重要である。つい無意識のうちに浅い呼吸になるので、良い呼吸をしているか時々チェックしている。もちろん、腹を締めつけるようなズボンや肌着はつけない。 そして上述のように、どんなに寒くても一年中窓を開けたまま寝ている。
2.全身の血行を良くし、体を温かく保つ。血行不良と低体温は、新陳代謝を低下させ免疫力を弱めるため、病気を発症しやすくする。体が冷えたと感じたら、速やかに体温を上げる。また、血行を悪くするような姿勢はできるだけ避ける。
3.適量の良い水を適時に飲む。人間の体の60%以上は水で、生化学反応は水の存在下で起きている。つまり水は、命の源であり、食べ物以上に命に直結している。そこで、私は飲料にも気をつけている。例えば、アルコール飲料はほとんど飲まない。飲むと、血行が良くなりハイな気分になるが、ターボ・エンジンと同じ理屈で寿命を縮めるからである。また甘い飲み物は、空腹時に飲むと血糖値を急激に上げるので、できるだけ食後に飲む。
4.適量の良い食物を適時ゆっくり摂り、食後はできれば30分は休息する。 食事は日々もっとも気にしている。昼食と夕食の間を9時間くらいあけ、胃腸をきれいにするとともに、十分な空腹感を味わいミトコンドリアを活性化する。間食は一切しない。食材は野菜が中心で、動物性たんぱく質とでんぷんは少し控えめにしている。食事は野菜から摂り始め、糖質は最後に摂る。さらに、胃腸の中の微生物を良い状態に保つために、ヨーグルトや納豆などの発酵食品は毎日食べている。
5.病気の予防に努め、薬に頼らない。花粉症以外の薬は基本的に飲まない。もちろん、いざという時のため、抗生剤も飲まない。自分の体力を信じ、インフルエンザくらいで病院には行かない。 病院に行けば、別の病気をもらってくるかもしれないからである。
6.規則的な生活を送る。言うまでもなく、健康維持の基本である。
7.日の出とともに起き、睡眠時間は6から7時間。昼食後は20分の仮眠をとる。 日没とともに野良仕事は終える。そして、今日一日を無事に生きられたことに感謝し、できるだけ明日のことは考えず寝床につく。
8.起床する前ストレッチで体をほぐし、適度の全身運動を毎日続ける。できるだけ体に負担がかからない姿勢を保ち、足腰の関節に負担があまりかからないように歩く。ストレッチはおもに腰から下を伸ばす。
9.ストレスを持ち越さない。ストレスは免疫力の低下を招き、病気を発症しやすくするので、ストレスを蓄積しないよう、くよくよしない。嫌なことは忘れる。
10.欲はほどほどにし、できるだけ心穏やかに暮らす。私はこれが一番難しい。
(文責:鴇田 三芳)