大きい組織で働こうが小さい組織で働こうが、あるいは一人で働く場合でも、仕事に一生懸命とりくむと、なぜか「やりたい事」よりも「やるべき事」のほうが多くなりやすい。「あれもやりたい、これもしてみたい」と思っていても、目の前には「やるべき事」が次々と発生してくる。その多くは気の進まないものである。それが仕事というものなのだろうか。
農業も例外ではない。猫の額ほどの家庭菜園で趣味の農作業をするなら別であろうが、生業として農作業をするのであれば、気の進まない「やるべき事」が山ほどある。露地野菜を作っている農家にとって、その代表格が草取りと畑の片付けである。今までたくさんの農家の方々と知り合いになったが、誰一人として草取りや畑の片付けに喜びを感じている人はいなかった。畑が草だらけになってしまったら、野菜を効率よく作れなくなることを誰もが知っているし、収穫の終わった畑を片付けなければ次の作付けができないことくらい十分わかっている。
しかし、ほとんどの農民にとっては、草取りや片付けは生産的な作業と思えず、心身ともに疲れる作業なのである。つまり、気の進まない「やるべき事」なのである。
上の写真は高齢化が進む日本農業を象徴するようなものである。左側はきちんと使っている畑、真中の畑は除草剤で草を枯らしたりトラクターで耕し最低限の「やるべき事」をしている畑、右側の草地は放棄地で「やるべき事」を放棄した畑である。すでに3年以上もこの風景が続いている。
「やりたい事」を農業の中にもっと増やすにはどうしたら良いのだろうか。私はずっと模索を続けてきた。
(文責:鴇田 三芳)