第159話 老いとチャレンジ

百姓雑話

歳を重ねるにつれ、変化を嫌い恐れ、だいたい保守的になる。健康を保ちたいとか、現状を守り続けたいとか、ひたすら保守を願うようになる。多分それは、人生最大の、たった一度の大変化、死という未体験の大変化が視野に入ってくるからかもしれない。

また、たいていの人は、年老いてくると、少しでも老化を遅らせたいと願うようになる。やはりこれも、老化の先に死がちらつくからだろう。「遅かれ早かれ、どうせ死ぬのだから、今さらじたばたしたって・・・・・・・」とは、なかなか悟れないのである。「死は終わりではなく、楽に暮らせるあの世がその先にある」とか、「神を信じれば、天国に行ける」とか言われても、見たことのない世界を信じるのは難しい。それが凡人の、あるいは無神論者の性かもしれない。

そこで凡人は、老化を遅らせようと、いろいろなことをする。例えば、健康や病気について学んだり、食事や生活習慣を改善したり、積極的に運動したり、何か新しいことにチャレンジしたりする。チャレンジは、その対象が何であれ、脳を活性化させ老化を遅らせる効果がある。

すでに還暦を過ぎた私も、10年ほど前に膝痛で歩けなくなった頃から、足腰の衰えが気になり始めた。物忘れもよくある。かつて、病院で脳の検査をするように若者から勧められたこともある。脳の退化が相当進んでいるのかもしれない。

そんな訳で、私も老化を少しでも遅らせようと、身の程も知らずに、今年もいくつか新たなことにチャレンジしようと思っている。その一つが中国南部での農業である。かれこれ、10年以上も前から考えていたことである。

この歳になると、体が気持に追い付かなくなり、いつまで現役で働けるかわからないが、今年からその準備を始めようと思っている。目標をしっかり持ち少しずつでも努力していけば、いずれ10年後くらいには道が開けると楽観している。

そのためにも、健康を害せず、事故にあわないように気をつけ、今年もマイ・ペースで頑張ろう。

(文責:鴇田 三芳)