第217話 ソーラーシェアリング事業

百姓雑話

昨年秋より農園関係者と月1回の勉強会を開催しています。社会の問題に対して、その問題点とその解決策、我々にできる事について議論しています。

前回は戦争のない社会にするにはどうしたらよいか、自分たちに何ができるのだろうかという観点から議論しました。その中でグローバル化が進む社会で外国に依存していいものとなるべく自国で賄うべきものがあり、なるべく自国で賄うべきものとして食料とエネルギーがあるだろうということになりました。

日本のエネルギー自給率は2010年で4.4%、石油、天然ガス、石炭といった化石燃料のほぼ全量を輸入に依存しており、原子力発電がほぼストップしている現在、化石燃料を利用した火力発電に電力の大部分を依存しています。また、食料自給率はカロリーベースで約40%となっており、これは家畜の餌を輸入に依存していることに大きな原因があります。エネルギーも食料も多くを海外に依存している状況にあります。

私には皆生農園でやりたいことが色々あるのですが、その一つにソーラーシェアリングがあります。ソーラーシェアリング事業というのは 農地を耕作しながら、その上3mほどのところに太陽光パネルを設置し、売電事業も行なうというものです(上のイメージ写真を参照)。食料やエネルギーの自給といった意味で、ソーラーシェアリングはまさにこれに合致する試みであります。

太陽光発電事業は、売電期間が20年間、投資を回収できる年数が10年前後、土地代も合わせると十数年で投資を回収する事業となります。売電収入にくわえて、下地を農地利用することで二重の収入を得る仕組みです。さらに、農地の上に太陽光パネルがあることで農作物の栽培上のメリットもあります。例えば、夏場の日照除け、冬場の霜防止、ソーラーパネルを支える支柱の活用などが期待できます。

設備規模としては土地面積1haで400kw程度(一般家庭の約130戸分)の発電規模になり、設備費用は約1.2億円、年間の売電収入は約1200万円(27円/kwa)というのがおおよその事業性となります。

まず、有志によって施設(50kw程度)を一つ作ってみようと計画しています。現在、皆生農園では借地で耕作を行なっていますが、太陽光発電事業は20年以上の事業であるため借地上で行うことが難しく、農地の購入を計画しています。事業の着手までには数年かかると思われます。

また、大規模に行なうには土地の問題だけでなく、施設の建設には多額の資金が必要になります。今後は広く一般市民の皆さんから出資を募り、売電収入や農地で採れた作物で出資者に還元するというスキームを検討したいと思っています(上のスキーム図を参照)。

ぜひ皆生農園に関わる皆さんのご協力を得て、事業を実現したいと思います。

(文責:塚田 創)