第347話 農業衰退の原因(3)

百姓雑話

1970年代後半から、日本の農業は衰退の一途をたどってきた。なぜこうなってしまったのか、農業現場から私なりに考えてきたことを述べてみたい。

アメリカ合衆国は、ヨーロッパからの移民とアフリカからの奴隷によって、農業国としてスタートした。20世紀に入り工業国としても世界を席巻したものの、今でも穀物輸出は世界一であり農業大国の地位は保っている。何度かその穀物を禁輸して他国に圧力を加えたこともある。戦略物資として利用したのである。

1945年8月15日、日本敗戦。その直後からアメリカによる日本統治が始まった。二度とアメリカに挑まないように、それまでの日本の制度や慣習、政治や経済活動などの多岐にわたってアメリカは変更を要求してきた。その一つに農地改革がある。大地主を解体し、小作農民に農地をただ同然で払い下げたのである。

この改革は戦前から一部の官僚が訴えてきたものであるが、アメリカ側にはアメリカの長期戦略が隠されていた。それは、食料による日本支配と日本農民の共産化を防ぐことであったと言われている。この長期戦略のもとで、日本は米の消費を年々減らし、小麦とトウモロコシの消費を増やしてきた。今では、米の国内生産量よりも小麦とトウモロコシの輸入量の方が多くなり、カロリーベースでの自給率は40%を切ってしまった。

元アメリカ国務長官のキッシンジャー氏は数々の名言を残したが、その一つに「食をコントロールする者が人民を支配する」と言ったそうである。まさに日本はその代表例であろう。

このアメリカによる食の支配も日本の農業の衰退の一因であろう。

(文責:鴇田 三芳)