第231話 強い味方、テントウ虫

百姓雑話

「厄介な害虫は何ですか?」と問われれば、私は迷わずアブラ虫、ヨトウ虫、それにネコブ線虫をあげます。農薬を使う農家であれば、これらの害虫は特に問題になりませんが、・・・・・・・・・。なかでも、私どもの場合、被害がもっとも出やすいのがアブラ虫です。必要な対策をしても、春と秋はある程度の被害を覚悟しなければなりません。

そして今春も。特に被害が大きかったのがサニーレタスです。昨日は、研修生とボランティアとともに、収穫を全くしていないサニーレタス1畝を廃棄しました。株数で300株ほど、金額に換算すれば5万円弱になります。自分ひとりで片付けるには空しすぎて、3名でやりました。

農家にとって厄介きわまるアブラ虫でも、自然はよくできたもので、強力な天敵がたくさんいます。私どもの農場でよく見かけるものは、ヒラタアブ、アバラバチ、クサカゲロウ、テントウ虫の4種類です。前の2種類は幼虫が、後者は幼虫も成虫もアブラ虫を餌にしています。前述のサニーレタスの畝は防虫ネットが張ってあったものの、どこからか忍び込んだテントウ虫がウヨウヨしていました。サニーレタスの損失を補う上でも、それらのテントウ虫を捕まえて、ピーマンを植える区画の横に放ちました。毎年こうしてピーマンのアブラ虫対策をしてきました。

レタス畑数日前、写真のように、農場の一角に生えていた草にテントウ虫が群がっていました。葉が縮れている部分にはアブラ虫がたくさん寄生しています。こんな狭いところに何匹ものテントウ虫が群がっているということは、春先にはいたる所にいたアブラ虫が天敵にほぼ制圧されたということです。

また畑のテントウムシ、空豆にアブラ虫が群がっている所では、写真のように、テントウ虫がしっかり交尾していました。この近くに産卵することでしょう。テントウ虫はどうやってアブラ虫を見つけるのか本当に不思議です。

畑のビニールシートのように、アブラ虫などの害虫の天敵が効果的に活躍してもらうには、それなりの対策をしておかなければなりません。写真のように、野菜を栽培する場所は常にきれいに保ち、その周囲は害虫が寄生する草をそこそこ生やしておきます。この「そこそこ」がとても重要になります。そして今頃は、天敵がアブラ虫をほぼ制圧し終えるので、その近くに野菜を植えます。もちろん、念のために、野菜には防虫ネットをきちんと張っておきます。

自然の力に、自然の摂理に逆らわず、それらをより有効に活用しなければ、無農薬栽培は非常に苦労します。

(文責:鴇田  三芳)