春の訪れを感じさせる野の花として「オオイヌノフグリ」があります。なんと1月中旬に草むしりをしている時、写真のように「オオイヌノフグリ」の花を見つけました。毎年3月にこの花を見つけると春だなーと嬉しくなるのですが、こんなに早く咲いているのは驚きでした。その生態についてあまり知らなかったので、調べてみました。
まず名前ですが、漢字にすると「大犬の陰嚢」というその可憐な花からはおよそかけ離れた名前が付けられています。誰が名付けたのか、もっといい名前がないものでしょうか。
日本に古くから存在するのだろうと根拠もなく思っていたのですが、1890年ごろヨーロッパより入ってきた外来種ということで、日本で生息しだして歴史が浅いということです。1884年ごろ東京で初めて見られ、1919年には全国的にありふれた草になっていたようです。30年余りで日本各地に分布を広げていったことになります。
一般的に植物は、暖かくなると成長し、花を咲かせるのが多いように思います。しかし、「オオイヌノフグリ」は、秋に芽を出し冬に成長し早春に多数の花をつけ、春の終わりには枯れてしまいます。そして、夏の間は種子で過ごすという生活史を持つようです。繁殖力が強いうえ、あまり競争相手のいない冬に成長できるという特性も急速な拡大につながったのかもしれません。
植物の花を咲かせる要因としては、昼間の長さや温度などの環境要因が作用していると考えられますが、「オオイヌノフグリ」は、冬至を過ぎ日が長くなるのに反応して花を咲かせる、長日性植物なのでしょう。その逆にアサガオや菊は、夏至を過ぎ日が短くなってきたのを感知して花を咲かせる、短日性植物です。
植物によって環境への応答はそれぞれということですが、日の長さを感知するのは葉っぱのようです。花が咲くには花芽が形成される必要があり、日が長くなってきたことを葉っぱで感知し、花芽分化を促すホルモン等が分泌され、花芽が形成されるのでしょう。
まだまだ寒い日続きますが、春は一歩ずつ近づいてきているのだなと感じました。
(文責:塚田 創)