第333話 生命力を信じる

百姓雑話

先月28日、北海道佐呂間町で39.5℃を記録しました。全国の観測史上、5月としては最高気温だったそうです。昼食で帰宅する頃は当地でも30℃を超えていました。

そんな暑さの中でも、家路の中央分離帯にキク科の花が咲きほこっていました。コンクリートとアスファルトが接する隙間にたまった僅かな土で生きています。雨が降っても、すぐに流れ去ってしまう道路で、どうのように水を確保しているのだろうか。その生命力に感動せずにはいられません。

野の花に限らず、人間の手が加わった作物にも、生命力が十分あります。ですから、何度も農薬をかけなくても、本来ほとんどの作物は病気が出ません。私は、ここ15年くらい殺菌剤を使っていません。露地トマトに発生しやすい疫病を除けば、私は病気で悩まされたことはありません。

ただ私がしてきたことは、作物の生命力を信じ、それが十二分に発揮されるように、土などの環境を少し整えてきただけなのです。農薬を使わない農法は、この「作物の生命力を信じる」ことが原点になければ、継続できません。

私たち人間も同じで、むやみに薬や医師に頼りきるのではなく、まずは自分自身の生命力を信じ、それを向上し維持し衰退を遅くするような生活を心がけることが健康維持の基本ではないでしょうか。

(文責:鴇田 三芳)