第345話 生命産業

百姓雑話

農業をはじめ、漁業や林業、鉱業は第一次産業と言われる。第一次産業が供給したものを加工する製造業や建設業などの産業を第二次産業、そして第二次産業が製造した物を消費者に届ける産業とサービス業を第三次産業と、中学校で私は教わった。現代でも、そのような分類が世間では一般的なのかもしれない。

しかし私は、自前の農産物を直売してきた関係で、この分類に違和感を抱いてきた。

そのモヤモヤした違和感が、人類を恐怖の淵に陥れたコロナ禍によって、パーっと雲散霧消した。従来の古典的な産業分類に代わって、新たな分類を思いついたからである。それは、生命維持に不可欠な産業と、そうでない産業で分けることである。いわば、前者を「生命産業」、後者を「非生命産業」という分類である。

具体的には主に、食料や水などの飲食物、命を救う医療、社会を支えている石油や電気などのエネルギー、通信ネットワークなどの産業が生命産業と言えよう。

どんな時代になっても生命産業は生存に不可欠なものである。今回のコロナ禍でそれが明確になった気がする。

(文責:鴇田 三芳)