第350話 なぜ米の消費が減ってきたのか(2)

百姓雑話

お米の消費は、1962年ごろをピークに年々減少し、今ではピーク時の半分ほどになってしまいました。その一方で、パンや麺類、お菓子などの小麦の消費は戦後一貫して増えてきました。その原因としては、第347話で指摘したアメリカの食料戦略にくわえ、第349話であげた「手軽さ、食べやすさ、消化吸収性、加工や味付けのバリュエーションの多さ」などにおいて小麦製品のほうが優位と考えられます。

そもそも、なぜ私たち日本人は米という穀類を主食としてきたのでしょうか。いにしえの日本には栗を主食にしてきた人たちもいました。また、熱帯では芋類を主食にしてきた民族もいます。

これら穀類などの主成分は炭水化物です。これからエネルギーを得るために分解すると、二糖類のショ糖(砂糖の主成分)や単糖類の果糖やブドウ糖になります。これらの低糖類を人類は「甘くておいしい」と感じます。この甘い低糖類は、脳が「もっともっと」と欲しがり、依存症を起こします。そのため、必要なエネルギー以上に炭水化物を取り過ぎた結果が肥満です。この依存症が穀類を主食としてきた理由の一つではないでしょうか。もちろん、穀類が主食になった理由は他にもあります。計画的に入手できるとか、炭水化物をエネルギーとして利用した後に残るのは水と二酸化炭素だけで無害であることなどがあげられます。

ところで、世界中には穀類などの炭水化物以外のものを主食としてきた民族がいます。例えば、北アメリカなどの北極圏で生きてきたイヌイットは海にすむ動物を主食とし、アフリカの砂漠地帯やアラブ、モンゴル、ヨーロッパなどの牧畜民も肉食や乳製品を主食としてきました。このような事実からわかることは、炭水化物以外にも、たんぱく質と脂質も主食となりえるということです。

ここでもう一つ、人類の食の嗜好をあげます。人類は、「甘いものを欲しがる」と上述しましたが、なぜか肉類も欲しがります。肉に脂肪が多いと、「甘いくておいしい」と感じる日本人が多いようです。マグロのトロや牛肉の霜降り肉はその典型です。

そうです、ここに米の消費が減ってきた原因があります。戦後、日本の食事は洋風化し、卵を含む肉類や油の消費が右肩上がりで増えてきました。つまり、米以外にエネルギー源を求めてきたのです。

お米の消費がピークになった1962年ごろ、日本には卵をとる鶏が約9000万羽いました。それが今では2倍以上になっています。豚肉も2倍以上自給するだけでなく、輸入もしています。植物油は何と5倍ちかくになりました。

(文責:鴇田 三芳)