第383話 生命力を引き出す

百姓雑話
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当地では、7月初めころから1か月近く雨が降っていません。そのため私は7月初旬から、ナスやキュウリ、大葉や空心菜などに毎週1度は水やりをしてきました。とりわけ、里芋には重点的に潅水してきました。里芋の原産地は熱帯の湿潤地なので、乾燥に弱いためです。潅水してこなかった近所の里芋は写真のように枯れる一歩手前になっています。それを見るにつけ、かわいそうでなりません。虐待に見えます。

ここにきてやっと、8日の立秋に合わせるかのように、今日ほぼ1か月ぶりに雨が降りました。夕方までに50mmほどの雨。カラカラに乾燥した大地にとっては恵みの雨です。もちろん、植物たちは大喜びしているに違いありません。

ところで、「農民の仕事とは何か」と改めて問われた時、あなたは何と答えるでしょうか。「農産物を生産すること」と答える方が大方でしょう。

もちろん、結果的にはそうでしょうが、私は迷わず「自然の恵みが作物に最大限に取り込まれるように環境を整え、自然の脅威を最小限に避けられるように対策し、作物の生命力を最大限に引き出すこと」と答えます。

下の里芋の写真のように、作物の希望を叶えられる環境にすると、おのずと期待に応えてくれます。

30年以上も試行錯誤と失敗を繰り返してきた私にとって、栽培はさほど難しくありません。作物の気持ちになって、どうしたらいいのか考え、その生命力を引き出すように行動するだけのことです。

文責:鴇田 三芳