第397話 販売農業と自給的農業

百姓雑話

昔は、農家を「専業農家」、「第一種兼業農家」、そして「第二種兼業農家」と分類していました。専業農家は農業以外の収入がない農家、第一種兼業農家は農業以外の収入よりも農業収入のほうが多い農家、第二種兼業農家は農業収入よりも農業以外の収入のほうが多い農家と定義されていました。第二種兼業農家の中には、売り上げから経費を引くとマイナスになる赤字の農家も含まれます。近年は、第二種兼業農家が8割以上になっています。

見方を変えれば、上記の分類ではなく、農家を「販売農家」と「自給的農家」と分類することもできます。前者には専業農家と第一種兼業農家を、後者は第二種兼業農家を含めます。

私は、妻はもちろん従業員や研修生の支えもあって、脱サラ就農以来ずっと販売農業を続けてこられました。性に合っているのか農作業が楽しくて楽しくて、次々現れる苦境を乗り越えてきました。そして、過ぎてみれば、30数年がたっていました。

しかし、近年は体力の衰えが進み、もはや今までのような規模と内容で営農し続けるのは難しくなり、楽しさもあまりなくなりました。いつかは多分こうなるとわかっていたものの、営農を縮小する決断がなかなかつきませんでした。

そんな折、先月から若者3名もパートタイムで働いてくれるようになりました。(学生2名と就農希望の専業主婦) 彼らの働きぶりを見るにつけ、自分の体力的限界を痛感し、やっと決断がつきました。「販売農業から自給的農業に移行しよう」と。そして、若くて意欲のある後継者を探し始めました。

これからは、家族や自分の食べたいものを小面積で栽培し、余れば販売する農業です。心身への負担をかなり減らしつつも、日々体と頭を使いボケと筋力減退を遅くし、細く長く農作業を楽しみたい。

(文責:鴇田 三芳)