第3章 月毎の注意点

これはテストえです

 

1月

今世紀になったころから、温暖化のためか気候パターンが変化してきて、台風や大雨などの天候の悪影響が増してきました。公的機関や保険会社などの見積もりによると、近年における自然災害(気象関連、地震など)によって発生した経済的損失がもっとも大きかった国は日本だそうです。去年は西日本、今年は東日本を中心に台風などによる甚大な災害が発生しました。たぶん、今後ともこの傾向が続きそうです。
農業も自然の影響を受ける宿命にあります。とくに露地栽培は大きく影響されます。その影響は、栽培に好都合に働くよりも、多くは被害を及ぼします。今後も被害と悪影響は増すばかりと予想されます。
そのため、自然の悪影響と被害を幅広く認識し、時に及んでは具体的に予測し、可能な限りの対策を着実にとることがきわめて重要になっています。日々の作業の段取りを組む時はもちろん、栽培計画を立てる時にも、つねに自然の影響を念頭に置きます。
この章では、栽培などに及ぼす悪影響のうち、とくに私が注意している点を時系列で挙げていきます。

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① 雪
1月から3月にかけてもっとも気をつかうのは積雪です。1月上旬の寒の入り頃になると、関東地方でも雪がいつ積もっても不思議ではありません。積雪による被害や悪影響は、台風被害に匹敵する場合があります。
具体的には以下のような被害や悪影響があり、いろいろな対策を状況に応じてとらなければなりません。できれば年内にひととおりの対策を終えておきたいものです。
・被害:雪質によっても違いますが、露地栽培の場合、積雪が10cmをこえると、作物に被害が出ることがあります。20cmをこえると施設やトンネルが壊れる可能性があります。
・収穫困難:人参、キャベツ、白菜、大根などの丈夫な作物は、多少の積雪があっても、収穫できますが、ほうれん草や小松菜などの軟弱野菜は収穫に苦労します。無理に収穫すると、傷んでしまい、手間も大変かかります。
対策としては、パイプなどでトンネルをつくり、ビニールで覆うしかありません。その際、トンネルパイプの間隔を1mくらいにしないと、潰されることがあります。その危険があれば、降雪中に雪下ろしするしかありません。
ただし、長期間ビニールで被膜すると、アブラムシが発生することがあります。
・作業に支障:上述の収穫困難だけでなく、ほぼすべての外作業が止まってしまいます。舗装されていない道はぐちゃぐちゃにぬかるみ、スタッドレスタイヤ付き4WDでもスタッグしてしまうことがあります。また、レタスやキャベツ、ブロッコリーなどは定植できないこともあります。

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② 鳥
11月下旬ころから野鳥の餌が少なく始めます。そして、1月ともなると、本来肉食を好む野鳥でも野菜を食べ始めます。おもに葉物野菜です。この周辺ではムクドリとヒヨドリが被害を及ぼします。どちらも群れで襲来し、体の大きいムクドリが食べる量は半端ではありません。彼らがもっとも好むのがブロッコリーの葉で、次に小松菜、そしてほうれん草の順です。小松菜とほうれん草はほとんど売れなくなってしまいます。
対策は防虫ネットか防鳥ネットで覆います。防虫ネットであればべた掛けでも被害を防げますが、防鳥ネットではネットと作物との間に空間を設けておかないと被害にあいます。

③ 草
この地域では、おもにイネ科の草3種類とホトケノザとハコベが越冬します。これらのうち、ホトケノザとハコベはこの時期から種をつけ始めます。どちらの草も越冬する葉菜(ほうれん草や小松菜)に絡みつき収穫しにくくします。また、野菜の間が加湿になり腐ったり病気の発生を誘発します。
そこで、12月に除去できなかった草を当月にはきれいに片づけなければなりません。

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【2019年12月15日公開】

2月

1月の注意点(雪、鳥、草)にくわえ、以下の点にも注意をはらい、適切な対策をこうじなければなりません。

① 強風
いわゆる「春一番」から始まり6月の梅雨入り前まで、関東地方では南寄りの強風が吹きます。前線をともなった低気圧が中国北東部あたりからオホーツク海に向け発達しながら東進するためです。台風並みの暴風が吹き荒れることもあります。
この強風によって、野菜が折れたり葉が傷ついたりします。軟弱野菜(レタスなど)はその傷がもとで病気や腐れを起こすこともあります。
これを防ぐには、防虫ネットや防風ネット、遮光ネットやビニールなどで覆って防風します。キャベツやブロッコリーであれば、株元に土を寄せる方法もあります。
トンネル栽培でビニール被膜をしていると、強風によってビニールが飛ばされ破れてしまうこともあります。これを防ぐには、ビニールを土や紐でしっかり固定します。

② 気温
この頃もまだ気温が低いものの、日差しが強くなりはじめ、晴れた日はハウスやトンネル内部の気温が急速に高くなります。そのため、温度管理に気をつけなければなりません。当月は春夏野菜を育苗し始める時期で、育苗ハウス内の高温化は苗を軟弱にしてしまいます。病気や厳しい天候に耐える苗を育てるには、高温管理はNGです。

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3月

先月までの雪、鳥、草、強風、気温に対する注意にくわえ、早春のころには以下の点にも注意をはらわなければなりません。

① 霜
冬の間は、霜の対策をこうじてあれば、まず問題になることはありません。
ところが、3月に入ると、菜の花、越冬ブロッコリー、レタスなどの春野菜の収穫が始まり防霜被膜を除去するため、霜の害を受けやすくなります。
そのため、早朝の冷え込み具合をモニターし、霜害が予想せれる時は防霜被膜をかけなおします。
(このような面倒な作業を避けるため、菜の花、越冬ブロッコリー、レタスなどの春野菜をハウスで栽培する方法もありますが、当地では露地栽培よりも採算性が良くありません。)

② アブラムシ
越冬する草のうち、ホトケノザとナズナ(通称:ペンペングサ)にはアブラムシが寄生します。3月になると、寄生された草がはっきり識別できるようになるので、必ず除去します。そして、土に埋めるか、圃場から離れた所に捨てます。
放置すると、交尾のためにアブラムシに羽がはえて飛散するため、夏に向けてアブラムシに相当悩まされ続けます。

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【2019年12月22日公開】

4月~6月上旬

前月までの草、強風、気温、霜、アブラムシにくわえ、この期間は以下の点にも注意を払わなければなりません。

① 作業の段取り
多品目を栽培する場合、この期間は、越冬野菜(ブロッコリー、レタス、スナップエンドウ、キャベツ、玉ねぎ、にんにく、など)と春に作付けた野菜(ブロッコリー、キャベツ、レタス、など)の収穫がピークになります。それにくわえて、夏から秋にかけて出荷する野菜の作付けが目白押しとなり、作業の段取りにとても気をつかいます。
この時期と、8月下旬から9月末の期間がもっとも忙しい時期です。

② 害虫
アブラムシにくわえ、雑食性のヨトウムシ、アブラナ科のみに寄生するコナガやモンシロチョウなどの活動が活発になります。防虫ネットを適切に使用すれば、ほとんどの害虫の寄生は防げますが、もっとも厄介なアブラムシは寄生されることがあります。そもそも、胡瓜、茄子、ピーマンなどの果菜類は防虫ネットを使用しにくく、その分アブラムシなどの害虫に寄生されやすくなります。
この時期は害虫だけでなく天敵も増えますが、時間差があり、何も対策をとらないで放置しておくと深刻な被害が出ることがあります。
農薬を使わない私にとって、害虫対策にもっとも気をつかい手間取る季節です。各種の対策を状況に応じて使いこなします。

③ 乾燥
関東平野では、この時期は乾燥が続きます。南寄りの強風がたびたび吹き荒れ、土壌が乾燥します。そのため、少なくても4つの問題が起きます。露地野菜が土ぼこりで汚れ傷つくこと、汚れと傷のために病気が発生しやすくなること、肥料の効きが偏り作物によっては病気が発生すること、アブラムシなどの害虫の増殖速度が増すこと、です

④ 雹
この近辺では4月から11月まで、降雹の可能性があります。中でも、梅雨入り前の2週間と8月がもっとも危険です。かつて、1990年代の終わりごろ、5月24日に10円玉くらいの雹が10cmくらい積もったことがありました。畑一面が真っ白になり、野菜は全滅しました。ハウスの屋根もボロボロになり、車の屋根やボンネットがボコボコにへこみました。
この降雹の10数年前にも同じような降雹の被害がありました。
露地栽培でこの雹害を防ぐ方法は一つしかありません。防虫ネットで野菜を覆うことです。

⑤ 遅霜
当地では、ジャガ芋は3月上旬に、里芋は4月上旬に種芋を植えます。前者は3月下旬から4月初めにかけて、後者は4月の下旬には芽が出ます。
この地では、これらを栽培する時に防霜対策をとりませんが、5月の大型連休の前後でも遅霜がおりることがあり、霜害にあうことがあります。もっとも遅い霜害は5月20日でした。
どちらの作物も全滅することはないのですが、収穫量が減ります。栽培面積が少ない場合は、危険な時だけでも防霜対策をとったほうがいいでしょう。

【2019年12月29日公開】

6月中旬~7月上旬

この時期は、関東地域では梅雨となり、1月からの注意点はほぼ問題なくなり、以下のようなことに気をつかい始めます。

① 雨
地球温暖化のためか、日本以南の太平洋の海水温が上昇しています。そのため、日本列島に供給される水蒸気量が増え続けているそうです。今世紀に入り、日本各地を襲った集中豪雨はこのためと思われます。
近年、露地栽培をしていて悩まされる現象は、暴風と雨です。供給不足による野菜価格の高騰は、農家の減少という構造的な問題にくわえて、この暴風と雨が原因です。
関東圏では、昨年(2019年)の梅雨の期間中、ほぼ毎日しとしとと雨が降り続きました。(後述しますが、この年は秋もだらだらと雨が降り続き、11月末まで雨の降らない日はほとんどありませんでした。)そのため毎日、スマホとパソコンで、天気予報と雨雲の予測を何回もモニターする日々が続きました。
雨が降り続くと、いいことは何もありません。いくつもの弊害や被害が生じます。その最たるものが以下の草と病気です。

② 草
使いやすい圃場を持続するには、土質を良い状態に保つことと、草の少ない状態を保つことです。そのため、冬以外は草に対して常に気をつけています。
圃場内の草対策でもっとも手っ取り早い方法は、草が小さいうちにトラクターで耕すことです。
しかし、雨が降り続き土壌水分が多い状態で耕すと、土を固めてしまいます。いわゆる「耕盤」を作ってしまい、水はけが悪くなり、肝心の土の質と状態を悪化させてしまいます。
それらを回避するためには、梅雨入り直前に圃場の草対策を完了しておきます。何を置いても、これは完了させます。
それでも梅雨が例年より長引くようであれば、梅雨の中休みをねらって、もう一度草対策をします。
野菜を露地栽培する場合、草を堆肥などに利用しない限り、草対策をしたところで何の利益も生みません。しかし、草対策は重要な作業です。私たちが体や衣服、身の回りをきれいに保つのとまったく同じです。

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③ 病気
病気の発生原因は、おもに肥料過多、過湿、適度な温度、不適切な品種、季節外れの栽培の、5つです。梅雨の時期は、これらのほとんどが揃う可能性があります。
農薬を使わない栽培では、どちらかと言えば、害虫よりも病気のほうが厄介です。害虫は被害が拡大する前に対策をとれますが、病気は発生してしまうとほとんど有効な手立てがありません。あっても、手間取ります。さらになお、病気の多くはカビが原因のため、胞子が圃場に残り後々苦しめられる公算が高いのです。
そこで露地栽培では、上述の温度を除き、肥料過多、過湿、品種、栽培時期に対して十分注意をはらわなければなりません。
具体的には、基肥(とくに効きの早い窒素肥料)は少なめにし、作物周辺が過湿にならないように疎植と草対策を励行し、問題となる病気に強い品種を選び、季節外れの栽培は行ないません。

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④ 台風
この時期の台風は、西日本方面に進むのが一般的ですが、まれに東日本にも接近・上陸することがあります。かつて6月に、2つの台風が関東の近くを立て続けに通過し、大きな被害が出たことがあります。
そこで、防風のために圃場周辺に背丈の高い草を生やしたり、防風ネットを要所に張る対策をあらかじめとっておくと、ある程度は防げます。

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【2020年1月5日公開】

7月中旬~9月上旬

「④の害虫」の問題を除けば、この期間は、農薬と化学肥料を使うかどうかに関係なく、以下のことに注意をはらいます。

① 高温と豪雨
今世紀になってから、夏が高温化し、かつ期間が長くなりました。野菜を露地栽培する場合、近年くらいの高温化は決してマイナス要因になるわけではなりません。高温と強い日差しはエネルギーレベルが高いので、それを活用できれば恵みに変わります。
ただし、肉体的にはきつくなります。
高温化とともに、降雨量の地域格差が大きくなりました。豪雨や夕立が増えた地域があれば、逆に雨量が減り圃場が極端に乾燥する地域も出てきました。どちらにしても両極端は栽培に悪影響をおよぼします。特に、度を越した豪雨は被害をまねきます。豪雨への対策は「9月下旬~10月の項」で述べます。
この気候変動の影響が顕著な地域では、高温を好む作物へと栽培品目を移行する、潅水施設を整備する、遮光ネットを有効活用する、健康管理により注意をはらうことが必要と思われます。

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② 台風
西日本では、この季節から台風の被害が出やすくなります。近畿以東でも、栽培の一環として可能な限りの暴風と豪雨への対策をしておくことが肝要です。
暴風対策は「6月中旬~7月上旬」で述べたとおりで、豪雨対策は「9月下旬~10月」で述べます。

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③ 健康管理
上述のように、夏の高温化と長期化が進んでいて、健康管理が非常に重要となっています。体調が悪化し生活にも支障をきたすようになれば、せっかく新規就農した志があだになりかねません。
9月は、夏の疲れが現れ、加えて超多忙となり、腰痛を起こしやすい時期です。
私は、新規就農を希望する人には、腰痛の回避と夏場の健康管理の重要さをしつこく説いています。

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④ 害虫
この地域で露地栽培する場合、梅雨時から8月上旬にかけては害虫の発生はほとんどありません。ただし、空梅雨で終わると、梅雨明け以降もアブラムシの発生は続きやすくなります。
この時期で特に気になる害虫はハスモンヨトウムシとネキリムシです。前者は、8月中旬から発生し始めますが、フェロモントラップを適所適切に設置すれば、ほとんど問題になりません。後者は圃場や周辺の小さな草に産卵するので、(イネ科の草には産卵しません。) 作物に悪影響がない大きさの草でもしっかり対策をすべきです。これを怠ると、秋冬作で被害が発生します。発生数が多いと、かなり厄介です。ネキリムシを発生させてしまった後の対策は「9月下旬~10月の項」で述べます。

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【2020年1月12日公開】

9月中旬~10月

年間40種類もの露地野菜を栽培していると、この期間は心身の強靭さがもっとも必要とされます。農薬と化学肥料を使う慣行栽培でも事情は同じです。

① 長雨
近年、関東地方では秋の長雨の期間がより長くなる傾向が顕著です。当地では2019年、9月中旬から11月下旬まで、ほぼ毎日雨が観測されました。
梅雨の時期と同様に、病気、草、日照不足、作付け困難、収穫困難、段取りの苦労、収穫物の品質低下など、雨続きは農業にとってほとんど良いことはありません。利点は害虫の発生が減ることくらいです。
露地栽培では、長雨に対して打てる対策は非常に限られています。対策としては、水はけの良い圃場を使うとか、地上部と土地部ともに過湿に強い作物を栽培するとか、深く耕し高畝を作って作付けするくらいです。

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② 台風
この期間でもっとも気をつかうのはやはり台風です。
昔は、秋の彼岸から10月中旬にかけて、ウラジオストックあたりから寒冷前線の南下にともなう南寄りの強風が頻繁に吹きました。しかし、近年はこれがほとんどなくなった半面、大型で猛烈な台風の接近・上陸が増えてきました。少なくても日本付近では、気候パターンが数百kmくらい高緯度方向へ移動した模様です。

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③ 作業の段取り
露地で秋冬野菜をめいっぱい栽培すると、上述の長雨や豪雨、台風の襲来に悩まされますが、日常的には作業の段取りに苦労します。
ほとんどの新規就農者は、マントーマンの指導を受けても、自力でできるようになるには数年を要するでしょう。適切な作業の段取りを立てるのは、単に知識や経験があればできるものでもなく、総合的な力量が必要となるからです。
したがって、個人の能力差が段取りの良し悪しにもっとも現れます。営農が継続できるか否かは、この段取りが大きな要因になると言っても過言ではありません。近年の著しい気候変動が今後も続けば、なおのことです。
私は研修生に、「天候被害の少ない春から夏にかけての前半戦でしっかり稼ぎ、後半戦は他の仕事でもしたほうが年間の所得は増えし、体も楽だよ。」と必ず一度はアドバイスしています。
ほとんどの農家がかつて選んだ道は兼業化でした。そして、サラリーマンの世界にも、良くも悪くも、兼業化の大波が打ち寄せています。こういう生き方も選択肢の一つでしょう。
第1章の「⑨その他」の「① 作業の段取りを適切に組む」もご参照ください。

【2020年1月19日公開】

11月~12月

台風の襲来を除けば、この期間は以下のことに気をつかうくらいで、もっともほっとする時期です。夏から秋にかけて作付けした野菜の収穫に注力できます。

① 霜
30年ほど前、私が就農したころは11月上旬に初霜が降りました。しかし今では、早くて11月下旬、遅いと12月上旬に初霜が降ります。越冬野菜のエンドウやソラマメは11月上旬までには蒔いていましたが、今では11月中旬以降に蒔かないと失敗しやすくなります。
このように、秋から初冬にかけて温かい日が続くと野菜が軟弱に育っているので、寒波が襲来して急に冷え込むと露地野菜に霜害が発生します。2019年の11月末には、それまで経験したことがない事態が発生して、驚きました。例年は霜害対策をしなくても越冬するホウレンソウまでもが霜害にあいました。ホウレンソウよりも寒さに弱いアブラナ科の小松菜やブロッコリーはもちろんのことです。
そこで、長期予報(1か月予報)と週間予報をモニターしながら、11月下旬から越年野菜に寒さ対策を順次行ない、12月中には必ず終了することをお勧めします。順番としては、レタスとサニーレタスから始め、次に春人参、そして小松菜、キャベツ、白菜、大根、ブロッコリーなどのアブラナ科野菜、里芋、玉ねぎ、ほうれん草の順で完了です。冬人参とニンニクは特に必要ないでしょう。
おもに使う資材は、POビニール、防霜ネット(ベタロン)、不織布(青パオパオ)、防虫ネット(サンサンネット)です。防霜・防寒性能はこの順に下がります。被膜方法は基本的に、べた掛けはせず、トンネルがけです。

② 草
寒さに強く確実に越冬する草が何種類かあります。なかでもホトケノザとハコベは非常に厄介です。どちらの草も越冬する葉菜野菜(ほうれん草や小松菜)に絡みつき収穫しにくくします。また、野菜の間の地表付近が加湿になるため、腐ったり病気の発生を誘発します。
そこで、12月下旬ころから対策を始めます。あまり早くから始めると、ホトケノザは容易にまた生えてくるので急ぐ必要はありません。
ただし、花が咲いているものは見つけ次第すぐに除去します。

こちらも(百姓雑話3)もご参照ください。

【2020年1月26日公開】