第1章 新規就農者に必要なもの

10のQ

 新規就農する人が検討すべきことは以下のようなものがあります。もちろん、農家の後継者として新規就農する場合は、これらの中の半分ほどは自ずと決められているでしょう。

専業でするのか? 兼業するのか?
  農業につくさい、専業にこだわることはありません。3~4日農業をいとなみ、2~3日は他の仕事をしてもかまわないと思います。あるいは、一日の半分を農業についやし半分は他の仕事をするとか、収益のえやすい時期だけ農業をいとなみ、その他の時期は他の仕事をするのでもいいでしょう。要は、家族がいる場合は家族の事情をまず優先し、かつ本人が農業をして良かったと思えることが重要です。私の場合、私は専業でも、妻はサラリーマンを定年まで続けてきました。それで家計は破綻しませんでした。

家族で(または個人で)営農するのか? 集団で営農するのか?
  この選択は、たぶんに本人の性格によるでしょう。人間関係を持つことが苦手な人は集団営農には向かないと思います。どちらにしても収益性に優劣はありませんが、おのおの長短がありますので、よく考えたほうがいいでしょう。

どこで就農するのか?
  これは非常に重要な選択です。この選択いかんで、就農後の経営状況が大きく異なります。私は販売に都合がいい都会の近くで、かつ農地を安定的に使えるに農振地域に農場を求めました。

どんな人々向けに生産するのか?
  この問いは、下の⑤とリンクしています。簡単に言えば、「健康志向の強い人向けに販売するのか、健康をあまり気にしていない人向けに販売するのか」、「家計に余裕がある人向けに販売するのか、家計にあまり余裕がない人向けに販売するのか」、あるいは、「個人・家庭向けに販売するのか、団体や企業など向けに販売するのか」などと分けることができます。

何をどのように栽培するのか?
  上述の④が決まれば、おのずとこの問いの答えは導かれます。健康をあまり気にしていない人向けに有機栽培の農作物を販売しても、収益はあまりあがりません。かといって、健康志向の強い人向けに有機栽培のものを販売しようと努力しても、本人の体力と能力を超えた無理を続ければ、体をこわします。いずれにしても、家族と自分をよく見つめてから、④と⑤は決めるべきです。

【2019年7月14日公開】  

どのような農地を、どれくらい、どのように入手するのか?
  上述の③と関連しますが、これも非常に重要な選択です。営農が軌道に乗るか挫折するかの大きな要因になります。農地入手を焦って、良くない農地を入手することのないよう、研修・実習先で適切なアドバイスを受けることをお勧めします。

どのくらいの資金をどのように用意したらいいのか?
  金額は、当人の家族環境、価値観、ライフスタイル、年齢、就農地などにより大きく異なりますで、一概には決めつけられません。それでもやはり、無収入でも1年以上は生活できる資金を最低でも用意しておいたほうがいいでしょう。

何を学び、どこで研修・実習するのか?
  この選択を誤ると、スタートダッシュが遅れます。その分、用意した資金が早く減っていきます。私は、家族の都合で転居できず、初期の数年は実習先で栽培技術(無農薬・無化学肥料栽培)を十分に学べず、本を頼りに独学せざるをえませんでした。しかし、本による学習には限界があり、学習効率が悪い時期でした。私の長い体験から、小さい子どものいる人は、現職を続けながら1~2年間、週末に研修・実習を受けることをお勧めします。

実習・研修中あるいは終了後、「そのまま計画を進め、就農していいのか?」を再検討する。
  特に若い人、小さい子どものいる人は、熟考すべきです。

計画どおり進めると決断したら、どんな機械や施設、道具や資材などをどのように用意するのか?
  これは別途また後述します。

【2019年7月21日公開】

7の力

 新規就農者は、個人個人の状況と志によって異なりますが、以下のような力が要求されます。

体力
  昔と違い今では機械を活用すれば、筋肉隆々である必要はありません。しかし、露地栽培は労働環境が厳しいので体調を崩しやすく、体力に自信のない人や腰痛持ちの人は向かないでしょう。

忍耐力
  自然相手の仕事なので自分の思いどおりにならないことが多く、粘り強い忍耐力が要求されます。特に台風対策では根性が試されます。

基礎学力
  少なくても中学校程度の理科の知識が必要です。忘れてしまったことでも、改めて勉強すれば事足ります。農薬を使わない栽培では、高校程度の理科知識があると栽培技術の向上が早くなります。

思考力
   初期の数年間は先達や本などから基礎的なことを学び体験することが重要です。しかし、その先は自分のオリジナリティを築き上げる段階に入ります。その段階では、知識や体験が十分あっても、それらを活かす思考力がもっとも経営に影響を及ぼします。

財力
  資金を多く用意したほうが一般的には軌道に乗りやすいのですが、多いと無駄遣いする可能性が高くなるので要注意です。

人間関係
  非農家出身者は、まずは「よそ者」です。就農地の人々との人間関係が重要になります。サラリーマン生活に疲れた人が新規就農する場合、地域で孤立しやすく、挫折する確率が高くなります。

コミュニケーション能力
  上記の人間関係を築くうえでも、新たに販路を開拓するうえでも、あるいは従業員や研修生を受け入れるうえでも、ある程度のコミュニケーション能力が必要になります。

  よほど運が良ければ別ですが、最低でも前の5つ、体力、忍耐力、基礎学力、思考力、財力は不可欠です。

  もし財力が十分あれば人を雇用できるので、体力に多少の問題があっても、営農は可能です。例えば、施設園芸とか、植物工場なら、普通の体力で十分ですし、車椅子の人でも可能でしょう。

こちら(百姓雑話)もご参照ください。

【2019年7月28日公開】 

必要な知識

  新規就農者のほとんどは、「営農に必要な知識は栽培知識」と思いがちです。学校や本でもこの点に偏っています。しかし現実は、以下のような知識が必要になります。②以下の知識が欠落していたり不足していると収益が減ります。

栽培
  農業で喰っていくためには、必要不可欠なのが栽培の知識・技術・経験です。本や学校で学ぶのも一つの方法ですが、それはレース前の準備運動ほどのものです。やはり、まともに農業を営んでいる農家で研修するのがもっとも実践的です。できれば何人も研修生を受け入れた実績のある農家のほうがいいでしょう。どのように指導するかポイントを知っています。

タグの「栽培」もご参照ください。

収穫・造り
  農業経験のない人にはわからないと思いますが、栽培技術とほぼ同等に収穫と荷造りの技術と経験が重要です。

こちら(百姓雑話)もご参照ください。

気象
  露地栽培では気象の知識は不可欠です。気象に関心を持ち、天気予報を毎日見聞きし、そこで気象予報士が言うコメントから学ぶのが、時間はかかりますが、もっとも実践的です。私は3カ月以上先の気象を予想しながら作付けしています。

こちら(百姓雑話)もご参照ください。

こちら(百姓雑話)もご参照ください。

経理
  どんな営農形態であれ、これも不可欠です。本から学ぶより、パソコンを使って実際に適切な経理事務を行なっている人から学ぶのが実践的です。

機械
  営農形態により使用する機械は異なりますが、機械の知識がないと作業に支障が出やすく故障時の修理費用がかさみます。知識があると、故障が悪化する前に自分で直せることが多くあります。

建築・土木・電気工事
  これらの知識があると、経費の大幅な削減になります。何か支障が生じたとき、自分で対処できます。これも、本で学ぶより、専門業者から学んだほうが実践的です。

【2019年8月4日公開】

用意するもの

資金
  非農家出身者が新規就農する場合、ある程度の資金を用意しなければならないことは自明です。ただし、金額については、前述(「10のQ」)しましたように、千差万別です。以下の用意するものによっても、大きく影響されます。

農地
  上述の「資金」とともに、非農家出身の新規就農者にとって、農地の入手がもっとも悩ましい問題です。どちらも、農家出身の跡取り新規就農者では想像がつかないほど大変なことです。農地を借りるのか買うのかによって、必要な資金が大きく異なります。農地を入手しやすい地域、いわゆる「いなか」に就農すれば販売に苦労し、逆に販売が容易な都市近郊に就農すると農地の入手に問題が起きる傾向があります。
  農地の選定にあたっては、「農地であればどんなものでもいい」ということではありません。農地の良し悪しは後々まで営農に影響します。条件の良くない農地でも資金を投入し、ある程度使い込むと愛着が生まれ、もっと良い農地に移転しにくくなります。それを避ける意味でも、研修先で働きながら、良い農地を探すのも一方です。
  いずれにしても、非農家出身の先達のアドバイスや苦労話を参考に農地の入手を進めることをお勧めします。

販路
  収益性の良い販路はなかなか見つかりません。栽培能力にくわえ、交渉力が必要となるからです。このことを真剣に考え具体的な方策をとらないまま就農すると、挫折する可能性が高くなります。

施設・資材
  栽培するものと規模によって、もちろん異なります。それでも、栽培活動を始める前に、使い勝手のいい施設と必要最小限の資材は用意すべきです。施設は借用し、自前で建設しないという手もあります。

車・機械・農具
  これらも栽培するものと規模によって異なります。中古車を購入する場合は、信頼のおける修理工場から購入することをお勧めします。購入後のメンテナンスがいいからです。機械も同様で、中古品を買う場合は、インターネットで購入するよりも、少し割高でも農機具販売店から購入するほうがいいかもしれません。資金の余裕があり、20年以上は営農するつもりなら、トラクターは新品がお勧めです。

事務用品・備品
  スマホで書類作成や経理事務はできないこともありませんが、ノートパソコンとプリンターがあると、使い勝手がいいでしょう。

その他
  いろいろありますが、意外と意識されないものが衣服です。日々の作業では服装が重要になります。適切でない服装によって怪我をしたり、体調を崩すこともあります。

【2019年8月11日公開】

常識を疑う

 日頃から私たちは常識の中で生きています。それらは、社会がスムーズに機能するための約束事であるとともに、その多くは生きていく知恵でもあります。常識を知らないと、生存の危機に直面することさえあります。

 しかしその反面、常識は私たちの思考を限定し、ときには新たな世界への道を閉ざそうとします。いわば常識は重く強固な鎧(よろい)のようなものです。

 農業を営む場合も同じです。農業分野の常識を知らないとスタートラインにさえ立てませんが、常識に固執していると力強く走るのが困難になります。

 もし喰える農業を目指すなら、農業の常識は十分知った上でさらに、つね日頃から常識を疑う姿勢が非常に大事です。常識の延長線上には、ほとんどの場合、ありふれたことしか存在しないからです。

 「新たに○○○○を実現しよう」と目標を立てたなら、常識の反対側からも課題や問題点をながめ、苦い経験から得られた教訓を思い出し、他者の行ないや助言も参考にし、新たなことを連想しましょう。そして、実行する価値があると思えれば、試行してみましょう。試行錯誤の末に目標がクリヤーされれば、その一つ一つがあなたのオリジナリティになっていきます。

 一つ例をあげましょう。人参や大根は間引きするのが常識です。家庭菜園をしている人でも知っています。長時間しゃがみこんでの作業は足腰にこたえます。とくに人参の間引き作業は非常に大変です。人参栽培の大半は、収穫・荷造りを除けば、そのほとんどが間引きと草取りです。農薬(除草剤)を使って草取りを省いても、間引きは人手で行なうしかありません。

 しかし私は、かれこれ10年以上も前から、基本的に間引きしておりません。農薬を使いませんが、草取りもほとんどしておりません。そのため、作業量がかなり削減できます。形の悪いものが少し増えるものの、収穫量は増えます。

 その省力化の発端は、「どうして間引きするのか?」と常識を疑ったことです。

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【2019年8月18日公開】

健康管理

 当たり前ですが、これも非常に重要です。とりわけ腰痛には細心の注意を払うべきです。農業も機械化され、昔ほど重労働ではなくなり重いものを持つ機会も少なくなりましたが、それでも腰痛持ちの農民は少なからずおられます。私が研修生にまず教えるのは重い荷物の扱い方です。腰を痛めたら、農業をするどころか、日々の生活に支障をきたし人生さえも台無しにしかねません。
私の体験から、きちんと健康管理をするためには、少なくても以下の点に注意し、日々の実行が欠かせません。

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体重・筋力
  BMIが大きく肥満気味の人は農作業が辛くなります。肉体労働者の農民にとって肥満は心臓への負担を大きくし、作業をしても動きが緩慢になり、無理をすれば腰や股関節、膝などを痛めます。とりわけ露地栽培では、しゃがみこむ姿勢が多く、肥満気味の人は向きません。
筋力は、上半身よりも腰から下の筋力がとても重要です。おうおうにして、上半身の筋力が強い人は、重い荷物を持つことをためらわない傾向があるため、下半身を痛めやすくなります。

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飲食
  言うまでもなく、バランスのとれた食事を規則的にとることは肉体労働者にとっては不可欠です。特に夏場は、熱中症にならないように、スポーツドリンクなどでこまめに補水することが大事です。かく言う私は、今から30年ほど前、研修先で熱中症になり研修先のご主人に心配をかけてしまいました。

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早寝早起き
  早寝早起きが苦手な人も、どちらかと言えば、農業に向きません。

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休憩・休息
  私もそうでしたが、新規就農者は暇を惜しんで一生懸命働きます。しかし、一定の姿勢で長時間働くのは問題です。体を壊します。短時間でも構いません、休憩をとりましょう。場合によっては、ゆっくり休息することも必要です。私は、研修中に痛めた膝が後に悪化し、歩くことさえできない時期がありました。

服装
  どんな作業や運動でも、それにふさわしい服装があります。作業や運動が日常的であればあるほど、服装が重要です。マラソン選手は1gでも軽く走りやすい靴を特注しているそうです。
農民も同じです。動きやすく体への負担が少ない服装が重要です。

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医療知識
  農業機械や農具のほとんどは安全装置が不完全で、まったくないものも少なくありません。とにかく、農作業は危険です。また、天気の影響をもろに受けるので、体調を崩しやすい。そのため、あるていどの医療知識が必要です。
  さらに、より良い農産物をより安全に生産するうえでも医療知識が必要です。植物も人間も、表面上の違いはあっても、その生命活動は同じなのですから。

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諦め
  作業量が肉体的に、あるいは精神的に限界をこしたら、栽培量を減らしたり、出荷を諦めることを決断しましょう。諦めることは決して悪いことではありません。自己防衛のための素直な反応です。作業量が自分の、あるいはチームの能力をこえた場合、こえない場合よりも収益が減る傾向があります。要するに、「労多くして益少なし」となります。
  特に初心者は、意欲にあふれているため一生懸命に頑張り、諦めるのを拒みがちです。 

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【2019年8月25日公開】

模倣と応用

プロに学び模倣する
  農業経験のない人、あるいは少ない人が就農すると決断したら、学校や本、インターネットで学ぶ方法もありますが、最終的にはプロの農家で研修・実習するのがより現実的です。ここでいう「プロ」とは、その品目を長期間にわたり大規模に栽培してきた農家のことです。
  私もそのようなプロセスをへて現在にいたっています。枝豆、ブロッコリー、レタス、ほうれん草、人参、小松菜、大葉など、私が栽培してきた主要野菜は、それぞれの品目について個別に、プロから直接指導を受けました。

作業の理由を明確に認識する
  プロの農家に学ぶとき、「なぜ、そうするのか」と、一つ一つの作業の必要性や理由、有効性、収益性などをしっかり学び理解するよう努めましょう。単に作業方法を学んだだけでは、応用が利かず、自分なりの方法を産み出せません。

徹底する
  プロから習得したことを一定期間は徹底的に実行しましょう。すぐに自己流に変えてしまう人がいますが、このような人は進歩が遅くなることがあります。

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メリットとディメリットを分析する
  プロから習得したことを実践しながら、その方法のメリットとディメリットをより深く分析しましょう。メリットだけでディメリットがない方法などありません。

自分なりの方法を考え出す
  分析にもとづき、プロから学んだことのメリットは活かしつつ、自分の着想や経験を付加し、ディメリットを克服する方法を考えましょう。また、一般的に「ディメリット」とみなされていることでも、見方を変えれば「メリット」になることが度々ありますので、簡単に「ディメリット」を切り捨てないことも大切です。
  このような応用があなたのオリジナリティーになっていきます。

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【2019年9月1日公開】

性格

 何をするにも、知識や経験だけでなく、性格も影響します。
 農業も同じで、結果(つまり収穫物や収益)に性格が影響します。場合によっては、知識や経験よりも大きく影響することさえあります。一言でいえば、「性格を超える作物はできない」のです。
 他人に雇われるサラリーマンなら、上司をはじめとする周囲の人々があなたの性格上の課題や問題を指摘しますが、自営業者にはそれがありません。自ら見つけ出し改善していくことが宿命です。
 以下にある項目は、私が自身の性格的欠陥を改善する過程で気づいたことです。

丁寧か、粗雑か
欲がほどほどか、欲深いか。
ポジティブか、ネガティブか。
根気強いか、諦めが早いか。
ストレスを感じても引きずらないか、いつまでも引きずるか。
自己責任を自覚しているか、天気や他人のせいにしやすいか。

  これらの項目で左側の性格のほうが、どちらかと言えば、良い結果を生みますが、あくまでも傾向です。特に②、③、④に関しては、左側の性格がマイナスに働くこともあります。

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【2019年9月8日公開】

その他

 農業で一定以上の所得を得るためには以下のようなことも重要であると認識し、私は営農してきました。

詳しくはこちらをご覧ください。

作業の段取りを適切に組む
・半年先までの気候を予測する。
・2週間先までの作業を具体的にリストアップし、各々の作業の重要性を把握し、一つ一つの作業時間を見積もる。経験のない初めての作業は、あらかじめ少しやってみて、完了に必要な時間を見積もる。
・最低でも1週間先までの天気予報をテレビとパソコンで毎日モニターする。
・最低でも1週間先までの日々の労働力を把握する。
・作業の前日に、翌日の天気の推移と労働力をもとに作業の段取りを大まかに組む。
・作業当日の朝、天気の推移を再確認し、作業の段取りを組む。その際、不慣れな作業や初めての作業をするときは、時間に余裕をもたせる。
・作業の進捗状況をみて、必要であれば、作業の段取りを変更する。
・天気などの影響で予定通りに作業が終わりそうもないと思えたら、翌日以降に先送りできるものは先送りする。

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失敗率を減らす
  どんな仕事でも言えることですが、責任のある職業人は失敗率を極力減らすよう努力します。シリコンウエハーの上に超微細な加工を施すLSI生産では、良品率(歩留まり)の向上が至上命題となっています。
  農業でも同じです。農業初心者やセミプロ農家はなかなか失敗率を減らせず、少ない所得しかあげられません。その原因は、経験不足もありますが、根本的にはこの点を甘く考えているからかもしれません。

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競争を回避する
  「農家は保守的」とよく言われます。が、それを別の言い方をすれば、「自ら新しいことにチャレンジしないで、うまくいっている人の真似をする」と表現できます。初心者は、真似から始めるので、それでいいのですが、5年も10年も営農してきた人がそのような姿勢で営農していたら、まともに所得を得られなくなります。なぜなら、競争に後から加わるので、値下げスパイラルに陥るからです。
  勝算がない限り、競争(価格とサービス)は回避したほうが賢明と私は思っています。
それには以下のことが重要になると思います。

・常識を疑い、それによって思い浮かんだ意外な連想や着想を大事にする。
・技術を磨く。
・旬を少し逸脱した栽培を試す。
・生産効率を上げるため、手早い作業能力を磨く。

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売上額ではなく時給
  企業もそうですが、農家も売上額を目標としがちです。ですから、日本は先進国の中でも労働採算性がとても悪いほうです。とりわけ多くの農家は、家族経営のためか、時間当たりの所得(いわゆる時給)がいくらになっているか余り気にしていません。
  こういう「どんぶり勘定」は是正すべきです。
  そして、時給の向上を目指しましょう。それには、
・自分にとって収益性の悪いもの、悪い時期はできるだけ生産しない。
・収益性の良い販路を開拓する。
・できるだけ無駄を省く。
・投資に対して慎重かつ大胆に。
・自分で経理を行なう。できれば、簿記は複式簿記が良い。

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【2019年9月15日公開】

入口(需要の把握)から出口(需要の充足)まで
  農家はおもに自分の都合で生産品目を決めがちです。例えば、すでにある機械や施設、自分の技術や好み、手持ちの農地の特性などを優先的に考えます。それ自体は自然な成り行きですが、他の産業と同じように消費者が何をどれくらい望んでいるか知ることも大事です。そして、それを生産に活かすことが職業としての基本です。

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楽しみに時間さく
  収益性の良いものを生産することが基本ですが、それだけでは退屈することがあります。特に知的好奇心が旺盛な人はその傾向があります。そのような人は、収益性が悪くてもワクワク楽しくなるようなものも少しくらい生産してみるのも良いでしょう。ただし、やりすぎないように気をつけて。

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チャンスの前髪をつかむ
  チャンスはいつ訪れるかわかりません。訪れたと気づいたときには、あっという間に通り過ぎ後の祭りになりがちです。そこで私は、その到来を逃さないように、以下のようなことに気をつけてきました。
・実現したい目標を設定し常に意識している。
・実現するためのプロセスをより具体的に構想しておく。
・自分の能力だけでは不十分な場合がほとんどなので、どんな人の協力が必要か考え、周囲の人たちに実現したい目標を話し意見に耳を傾ける。
・その時に向けて、日々営農に努める。
 このようなことを心掛けてきましたが、大きなチャンスを何度もつかみ損ね、後悔が残っています。実際のところ、「言うは易し、行ないは難し」です。

四配
  日々の営農を以下のように捉えることもできます。
・目を配る。(観察)
・気を配る。(思考)
・手を配る。(行動)
・富を配る。(報酬の分配)

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安全対策
  農業は、他の産業に比べ、危険な作業があります。それにもかかわらず、機械や道具の安全装置が不十分で、農民自身も安全をおろそかにしがちです。また、悪い労働環境と不自然な姿勢によって、慢性的な腰痛に悩まされている農民も珍しくはありません。
  とりわけ新規就農者は、経験が足りないので、けがをするリスクが高くなります。十分注意しましょう。自分の体を守るのは自分です。

詳しくはこちらをご覧ください。

【2019年9月22日公開】


品種特性の調査
  自分が求める結果を得ようとしたり、気温などの限界に近い環境で栽培しようとすると、品種の選択が非常に大事になります。ひとつの品目でもいくつもの種苗メーカーが種苗を生産し、たくさんの品種(あるいは商品名)があるので、カタログで調べたり、信頼のおける農家に適切な品種を教えてもらいましょう。もし農家で研修する場合は、かならず品目ごとの品種とその特性、さらにカタログの見方を教えてもらいましょう。
  また、カタログを見てもわからない場合は、種苗メーカーにコンタクトしましょう。丁寧に担当者が教えてくれます。

公的機関の支援
  私が就農したころは、非農家出身の新規就農者に対する金銭的な公的支援は、私の知る限り、皆無でした。初めに就農した船橋市では、就農支援を得ようと市役所の農政課を訪問したところ、担当者は何もわからず、前任者を呼んでくる始末でした。
  しかし、今では多種多様な公的支援が用意されていますので、全国農業会議、県単位の農業会議、県の農業振興課、市町村の農政課、各県にある県立農業大学校などの公的機関から情報を得たり、相談することをお勧めします。

視察
  どこかの農家で研修を始めても、ある程度の経験を積んだ後、他の農家を訪問し教えを乞うことも有意義でしょう。
  ただし、知識も経験もあまりない人が視察に行っても、先方は迷惑です。無理に押しかけても、あまり教えてもらえません。
  そのような就農初心者にお勧めする本があります。千葉県内で堅実に営農している農家を取材した本「農業は生き方です」(編者:梅原 彰)。梅原氏は千葉県職員として30年以上も農業改良普及活動に携わってこられた方です。梅原氏への連絡は、
〒290-0056 千葉県市原市五井5290-6

読書
  読書も重要です。特に初心者は、農作業を体得するだけでなく、本からも多くのことが学べます。市販されている本もいいのですが、私がもっとも参考にした本は、千葉県が発行した「野菜ハンドブック」です。品目ごとに栽培方法が具体的に記載されていて、非常に有効です。ただし、慣行農法が前提の本です。10年ごとに改訂され、今年3月に最新版が発行されました。この本は市販されていませんが、公的機関には置かれています。問い合わせは、
千葉県農林水産部担い手支援課
043-223-2907

【2019年9月29日公開】